大開口の窓や玄関にも設置可能な「プリーツ網戸」
外気を取り入れながら、蚊や蛾などの虫をシャットアウトしてくれる網戸は、夏の住空間に欠かせない必需品です。
ただ便利である一方で設計者にとっては「建築デザインにそぐわない」「使用しない季節は取り外しをするしかない」「収納場所がない」といった点が頭を悩ませるアイテムでした。
「そんな設計者の不満を払拭したのが、1992年に弊社が開発したプリーツネットです。フラットな網戸は折りたたんで収納することができませんが、ネットをプリーツ形状にすることでパタパタと折りたたんで収納できるので、建築デザインの邪魔をせず、使わない時は左右に寄せて収納することが可能になりました」と尾上さんは話します。
近年はアウトドアリビングの人気も高まり、リビングとテラスを一体化させた大開口の建築デザインが増えています。同社のプリーツネットを使用した大開口用網戸は最大取り付け幅7.8mにまで対応するといい、こうした製品を選ぶことで、窓を閉めた時、網戸がスッキリと窓のフレームに収まります。さらに下レールが5mm以下であることからバリアフリーにも対応するといい、掃き出し窓だけでなく玄関ドアに設置可能な製品もあります。
開閉可能な小窓用網戸で省エネをサポート
ZEH住宅の普及に伴い、高気密高断熱の建物は窓が小さくなる傾向があります。とはいえ、通風用に開口は確保したいもの。これまでは小窓に付けやすい網戸が限られていました。
「そんな人にオススメしたいのが窓用収納網戸です。使いたい時だけ引き出して使える小窓用の網戸で、見込み幅は約23mm。埋め込みタイプならば木枠の中に収納できるので窓周りをスッキリと見せることができます」(尾上さん)。
湿気がこもりやすい、浴室や洗面所、キッチンの小窓に設置すれば、虫の侵入を気にすることなく自然換気ができます。エアコンや換気扇に頼りきりになるのではなく、網戸を上手く使いながら自然換気を取り入れるのもおすすめです。
断熱性能を高める和モダンロールスクリーン
1974年に日本で初めてロールスクリーンを開発・販売したのがメタコです。今では一般的となった「ロールスクリーン」という名称の名付け親でもあります。その後、商業空間や公共空間に対応したロールスクリーンを開発販売してきた同社。数年前に建築家の横内敏人氏の要望を受け、断熱性が高く、和のデザインに調和する住宅用のロールスクリーンの開発を開始。こうした設計者のリクエストに柔軟に対応し、現代の暮らしや環境に合わせたロールスクリーンを作りながら設置方法や納め方の相談にも応じています。
「現代の住宅は軒が浅いものが多く、建物のみで日射コントロールをするのが難しい現状があります。すると、どうしても窓周りで日射のコントロールをせざるを得ません。弊社は左右にガイドレールをつけることで、サイドからの熱を逃がさないロールスクリーンを開発しました。これにより冬季は窓からの冷気をかなり防ぐことができます。今後のテーマは夏の遮熱。遮熱性能のあるスクリーンの開発に力を注いでいくつもりです」(尾上さん)。
住環境に合わせて進化する網戸とロールスクリーン。こうした製品の情報をストックしておくことで、新しい住宅のデザインや施主のライフスタイルに合わせた窓周りの提案ができそうです。
取材・文=梶原博子
監修=リビングデザインセンターOZONE