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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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住宅新商品トレンド 災害時でも普段通りの生活を、ハウスメーカーの防災戦略

INDEX 2019.5.24

令和時代を直前に控えたこの4月は平成を振り返るメディアが溢れ、「災害」に焦点を当てたメディアの多くは平成を「災害の時代」と総括しました。平成7年の阪神淡路大震災に始まり、平成の終盤には23年の東日本大震災、28年の熊本地震の他、30年の台風21号による関西地方の被害、大阪府北部地震。また、全道を停電に至らせた北海道胆振東部地震は、国民の生活がいかに電力に依存しているかを再認識させられる災害でした。災害が発生する度に住宅の安全性は議論の対象となり、建築基準法の改正が繰り返されるなど住宅業界も大きな影響を受けました。

また、平成は日本人の生活スタイルが大きく変容した時代でもありました。IT革命はその一端を担い、携帯電話・スマホの進歩により情報化社会が進みました。住宅にもIoTやAIの技術を採用され始めており、「令和」はこの流れがさらに加速することでしょう。
政府がこれまで推進してきたZEH事業では、2019年度よりレジリエンス要素に一定の評価を与えるZEH+Rがスタートました。大手ハウスメーカーからは「令和」の時代をより安心して過ごせるよう、レジリエンスをテーマに据えた商品が開発されています。IoT・AI技術が活用されるケースもあり、事例として紹介します。

110日間続く停電にも対応「災害に備える家」~大和ハウス工業

大和ハウス工業「災害に備える家」
大和ハウス工業「災害に備える家」

大和ハウスは、防災配慮住宅「災害に備える家」をこの4月に発売しました。この商品の特長は「一次災害」だけでなく、「二次災害」に備えた防災配慮住宅であることです。その備えとして、雨天でも約10日間の停電に対応できる電力供給および暖房・給湯を確保できる「全天候型3電池連携システム」を搭載している点が特徴です。その他訴求ポイントとしては、新開発の体力壁「KyureK」を用いて巨大地震時の建物の揺れを最大2分の1に低減する「xevoΣs+」仕様、台風など強風による飛来物の衝撃に強い「防犯瓦」「防災・防犯ガラス」も搭載していて、年間販売目標を160棟としています。

国内初の「全天候型3電池連携システム」は、太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を新たに開発した「切換盤」で連携させることで、停電時の電力と暖房・給湯を確保し、通常時の光熱費の大幅な削減を実現しました。天候に左右されることのないエネファームで1日を通して発電した電力と、太陽光発電システムで発電した電力を家庭内で併用することができるため、省エネに大きく寄与します。1992年省エネ基準相当の住宅と比較したシミュレーションにおいては、年間光熱を約84.2%削減できると訴求しています。

また、この「切換盤」を新開発したことで、停電時にエネファームで発電した電力を、家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄えることができ、家庭内で使用できます。これにより、一次災害に伴う停電時にも入浴や調理が可能で、日常に近い生活が送ることができるようになります。

2最新設備とIoT技術で安心提供「防災持続力を備える家」~パナソニック ホームズ

パナソニック ホームズ「防災力が持続できる家」
パナソニック ホームズ 貯水タンク「マルチアクア」

パナソニック ホームズがこの4月、「家の備え×ご家族へのサポート×IoT」を相互連携させた「防災力が持続できる家」をリリースしました。
「家の備え」では、災害時も家族を守り、自宅で生活を続けるための住宅性能・設備を提案しています。超高層ビルにも活用される制震技術「座屈拘束技術」の考え方を戸建住宅向けに応用した独自開発の「アタックダンバー」の採用により耐震性を高め、停電時に約3日分の電気を確保できるパナソニックの「太陽光+蓄電システム」を搭載。また、4人家族で約3日分の飲料水を確保できる貯水タンク「マルチアクア」を設置しています。このタンクには水道管を分岐して設置するため、常に新鮮な水が入っており、空気に触れない二重構造により飲料水として使える水質を確保しています。このマルチアクアは1本で容量120リットル。1日1人当たり飲料水として3リットル、トイレ用水として7リットルを想定しています。また、生活用水は、エコキュートやエネファームから確保することが可能です。

さらに、IoTで暮らしをサポートするパナソニックの先進技術「HomeX」が災害時にも有効に機能します。気象警報と連動して台風などの予報を通知したり、シャッターを閉めて蓄電池への充電を始めたり、家が自動で災害に備えます。将来、新たな防災情報や備えにも対応できるように機能をアップデートしていくとのことです。
また、災害時のサポートだけでなく、被災後のサポート体制も充実させています。有料会員制度「あんしん倶楽部」では、台風や床上浸水で受けた被害に応じて、補修工事をサポート、お見舞い金等の補償サービスを用意しています。

3プランニングから考える防災「MISAWA-LCP」~ミサワホーム

ミサワホーム「CENTURY MISAWA-LCPモデル」

ミサワホームは2015年、平常時、災害時、災害後で安心な暮らしを提供するための「MISAWA-LCP」を策定し、普及に努めてきました。「MISAWA-LCP」は住宅を建てる前の計画段階からスタートする住まいのソリューションです。あらかじめ、政府や研究機関などから公開されている地盤情報を利用し、建設予定地周辺で起こりうる自然災害リスクをまとめた「ハザードカルテ」や、建物プランから事前に耐震シミュレーションができる「M-Labo」を活用したリスクコミュニケーションを実施します。これらの結果を踏まえ、躯体性能やプランニング、仕様においても安心を提供できる基準を設定しました。プランニング基準としては、14日分の飲食料・日用品を収納できる「備蓄スペース」や、近隣と日常的に「コミュニケーション」がとりやすい地域に開いたプランなどを設定しています。サポート内容としては構造体の初期保証期間を30年とし、その後も保証延長が可能で、万が一の事態にも的確に対応できるよう「365日・24時間体制」や、台風や地震時に専門家が備える「災害時待機体制」などを整備しています。

この4月には「MISAWA-LCP」を同社最上位ブランドである「CENTURY」に導入し、「CENTURY MISAWA‐LCP デザインモデル」をラインナップしました。120mm厚の木質パネルと高耐力仕様を採用したセンチュリーモノコック構法に、安全・安心な暮らしを支える「MISAWA-LCP」の考え方を組み合わせ、非常時でも自立した生活を送ることができるようレジリエンスを強化しました。さらに平常時の「備える」、災害時の「守る」、災害後の「支える」の3つの視点から、さまざまなアイテムを追加し、安全・安心な住まいをサポートしています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 斎藤 拓郎さん)