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平成の家族。~「暮らし」と「食」をデータで振り返る~ Part2 平成10(1998)年

2019.6.21

1986年設立の「都市生活研究所」は、多面的な調査・分析をもとに、都市生活者の暮らしを創造するための提言を行っています。都市生活研究所では蓄積してきたデータを基に、「平成」という時代を、ある家族の物語とともに振り返りました。
全4回のうち、第2回となる本レポートは、「女性の働き方」をメインテーマに、平成10(1998)年をご紹介します。

<家族の物語>
42歳になった夫・隆は、係長として都内の支店に勤務していました。隆が身をおく保険会社でも、経営破たんが起き、業界再編が進むことに。住宅価格は下落し、結果として佐藤家は、高い時期に家を購入したのでした。胸中複雑なのは親だけで、小学校高学年になった愛と翔太は元気いっぱいです。

<家族構成>
夫・隆(42歳)  妻・恵子(38歳)  長女・愛(12歳)  長男・翔太(10歳)

<女性の働き方>
短大卒、一般職、制服姿だった女性社員は、10年間ですっかり様変わりしました。

1女性の部下がバリバリ意欲的に働く姿に、隆は感動
「結婚後も働き続けたい」と考える女性がどんどん増えていました。

隆は係長として、支店に勤務していました。部下の女性社員たちは、4年制大学卒の総合職が主流です。以前に比べ、結婚を機に退社するいわゆる“寿退社”を希望する女性社員はすっかり減っていました。結婚後も変わらず、いや、より一層積極的に仕事に取り組んで、成果を挙げる部下に、隆は新鮮さと頼もしさを感じていました。
図1は、「学生時代にどのように働きたいと思っていたか」を振り返ってもらった平成27年(2015)年の調査です。平成10(1998)年当時が就職期だった女性たち(本調査では「40代」や「30代」)は、その上の 50代以上に比べ、「結婚までは働き、結婚したら家庭に入る」と考える人が減ったことがわかります。このころを境に、意識が大きく変化したと言ってもいいでしょう。
図1.女性の働き方意識
「学生時代、どのように働きたいと考えていたか」
図1.女性の働き方意識「学生時代、どのように働きたいと考えていたか」

2ずっと専業主婦だった恵子が、パートに出ることに
「夫婦共働きが当然」になりつつありました。

「お母さんは今日、もしかしたら残業で帰りが17時半くらいになるかも。鍵を持って行ってね」
朝食のとき、愛と翔太に恵子が伝えています。翔太が小学校高学年になったのを機に、パートで働くことにしたのです。仕事は、駅前の不動産ショップ電話応対やパソコンの入力作業が中心ですが、社員スタッフに代わって物件の写真を撮りに行くこともあるらしく、「いろんな部屋を見られるし、いろんな人と出会えるから勉強になる」と話しています。
妻がイキイキと働くことによって、夫婦の会話も増えました。「夫婦関係も良好になったような気がする」と、隆は恵子の変化をポジティブにとらえています。
図2が示すように、このころから、共働き世帯は「不動の多数派」となっていくのです。
図2.共働き等世帯数の推移
図2.共働き等世帯数の推移

<家庭の食>
手間と時間をかけてじっくり料理を作る人が減り、惣菜などの中食を買う人が増え始めます。

3恵子は残業になったら、お手軽調味料で済ませることも
調理に手間をかけない人が増え始めました。

恵子は接客ではなく事務仕事がメインのため、閉店より早めの16時半には退社します。ところが最近、店が忙しく、17時まで残業することが増えていました。愛と翔太がおなかを空かせていると思うと、落ち着きません。「麻婆豆腐にしちゃお……」。こんなときは、お手軽調理が可能な中華合わせ調味料が大活躍です。
図3のように、「調理の手間はかけないほうである」と答えた人は、平成2(1990)年の47.5%から平成29(2017)年には67.8%と着実に増加しています。調理自体は継続しつつも、時間と手間を省く方向で行われていることがわかります。「時間と手間をかける」ことだけが美徳なのではなく、「時短」で手間をかけずにおいしい料理を作ることにも、価値を見出すようになってきています。
図3.料理に関して「A.調理の手間はかけないほうである。」
「B.調理の手間はかけるほうである。」
図3.料理に関して「A.調理の手間はかけないほうである。」「B.調理の手間はかけるほうである。」

4翔太が好きなとんかつはスーパーの手作り
「惣菜」を買って帰る人が増え始めました。

「ねぇお母さん、トンカツ買ってきて!」
翔太は揚げ物が大好き。サッカーの練習で毎日おなかを空かせて帰ってくるので、トンカツなら2枚はペロリと平らげます。揚げ物は準備がたいへんで、コンロ周りが汚れるため、敬遠しがち。パートの帰り道にあるスーパーのおいしいトンカツが大助かりです!
図4の通り、バブル景気とともに急拡大した外食産業の市場規模は、平成9(1997)年をピークに縮小傾向に転じました。一方、増加傾向にあるのが、惣菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を購入して自宅で食べる「中食」です。近年では、お正月のおせち料理も、家で作らずにデパートなどで購入する家庭が増えてきています。今後、ますます中食の需要は伸びていくものと推測されます。
図4.中食産業と外食産業の市場規模の推移
図4.中食産業と外食産業の市場規模の推移