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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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制度・マーケット情報 令和の住宅業界でグループ化が進む

INDEX 2019.6.21

5月1日から「令和」という新しい時代が始まりました。そして大型連休の直後、5月9日には、住宅業界にとって大きなインパクトとなったニュースが発表されました。トヨタ自動車とパナソニックが、住宅事業を統合し、共同で新会社を設立するということです。令和という新時代が始まると共に、いよいよ住宅業界の大再編が第二幕に突入したと感じられます。
この流れは、業界再編の第一歩と言える2016年11月に発表されたトヨタホームのミサワホーム子会社化から、続いてきています。2017年10月にはパナソニックが、旧パナホームを完全子会社化、そして昨年2018年の10月には三井不動産が三井ホームを、ヤマダ電機が、ヤマダ・エスバイエルホームを完全子会社化、ヤマダホームズと会社合併という事業統合が行われました。
住宅業界内では既に平成の時代にも様々な提携の動きはありましたが、令和に突入して最初に大きな統合が発表され、これから更なる業界大再編が進んでいく可能性も現実味を帯びてきました。人口減少スピードが加速し、新築着工が本格減少期となり、住宅市場構造も大きく変わっていく中で、令和時代の住宅業界勢力図が動き始めそうです。

1トヨタ自動車とパナソニックが組んだ新しい住宅事業展開

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トヨタ自動車とパナソニック、日本を代表する2つの大企業が、住宅事業でタッグを組むという動きは、住宅業界の激動を予感させるものと言えるでしょう。両社の提携報道は、大型連休明けの5月9日、2019年3月期の決算発表が相次ぐ中で発表されました。トヨタ+パナソニックの両社は、すでにEVなどに使う車載電池事業でも新会社の設立を決めており、今回は住宅事業分野でも提携することで、協業関係の一層の強化を図っていくと見られます。
発表内容は、パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホームといった大手ハウスメーカーの住宅事業を、1つの新会社の傘下に統合し、協業を進めていくというものです。2020年1月に、パナソニックとトヨタ自動車の共同出資会社として、「プライムライフテクノロジーズ」という新会社を設立。両社以外に三井物産も出資を検討しているようで、その新会社の下に、各ハウスメーカーがぶら下がる形になるようです。
今、自動車業界は大きな変革の波が押し寄せていて、自動運転やコネクテッド、カーシェア、ライドシェアといった「CASE」と呼ばれる動きが加速しています。一方、住宅業界もスマートシティ、IoT住宅やAIの導入といった方向で、進化し続けています。あらゆるものがインターネットにつながるIoTの時代、家とクルマ、家電といったものがつながり、そして街づくりも大きく変わっていくでしょう。

今回の住宅事業統合は、電気自動車(EV)や自動運転などの次世代車が走るモビリティの分野と、住宅サービス、スマートシティといった次世代の街づくりを、共同で行って行こうという考えから事業統合に踏み切ったということです。
パナソニックは住宅関連を成長事業の柱に位置づけ、くらしアップデート企業として今年4月から住関連事業会社を、「エコソリューションズ社」から「ライフソリューションズ社」へと社名変更しています。それに先駆け、2017年に旧パナホーム、パナソニック ホームズを完全子会社化しました。IoT住宅の基盤である「Home X」等、次世代へ向けた技術開発を進めています。
一方、トヨタは自動車本体で手がけるEVなどの次世代車やつながる車のコネクテッドカー部門や、グループ内のトヨタホーム、更にはその子会社であるミサワホームの建築技術、ノウハウなどを提供できます。
技術革新が進む中で、日本を代表する大手企業の技術を結集させて、未来型の街づくりを行っていくということでしょう。自動運転などの次世代車や住宅をネットでつなげて、効率的な移動サービスを提供していき、更に電力などのエネルギー管理サービスなども視野に入れています。新会社ならではの新しい街づくりが実現できるはずです。
まだ詳細な提携内容はこれから詰めていくと思われますが、3つのハウスメーカーはそれぞれのブランドを残したまま、従来同様に自社の強みを活かして事業を進めていくでしょう。パナソニックの傘下である松村組もこのグループ会社に入っていますし、ミサワホームは中堅ゼネコンの大末建設と資本提携もしています。新会社では、大掛かりなプロジェクトとして、環境や快適な住生活に配慮した「スマートシティー」などの街づくり、住宅に留まらない大型建築計画、またIT分野での技術革新などで協力体制を築いていくものと見られます。

2令和時代には経営統合・グループ化が本格化する

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このグループ化という流れは今後も加速していくでしょう。縮小する住宅市場の中で、単独企業として勝ち残っていくことが難しくなっています。プライムライフテクノロジーズの大手3社の実績をそのまま合算すれば、戸建住宅で17,000戸の大手住宅会社となります。積水ハウスや一条工務店を上回る実績となり、数の上でも競争力は高まります。合計実績として見ると、飯田グループホールディングスが約45,000棟ですから、そこに次ぐ大グループとも言えるわけです。
住宅業界では経営統合のような動きが、他業界に比べて少なかったと言えます。他業界を見れば、例えば銀行の3メガバンク、自治体の平成の大合併もそうですが、企業や自治体の統合は平成時代に大きく進みました。住宅業界でもビルダーのM&A等が進んでいる面もありますが、大手ハウスメーカーは、平成の時代を通じて業界を揺るがすような大きな変化がほとんどありませんでした。
どちらかというと、大手ハウスメーカーはそれぞれで、ゼネコンや介護などといった他業種の企業、豪州や米国等の海外の企業を傘下に収めたり、資本提携したりして事業を拡大・多角化させてきました。各社とも事業の幅を広げることで、縮小しつつある市場の中でも勝ち残ることが出来た勝ち組と言っても良いかもしれません。今後はこの勝ち組ハウスメーカー同士、ビルダー同士が更に提携していくという動きが起こって来てもおかしくないでしょう。もしかしたら、何処かと何処かが、既に水面下で提携の話を進めている可能性もあります。
最大手となった大和ハウス工業がM&Aで傘下に収めた中には、ゼネコンのフジタ、マンションのコスモスイニシアというグループ会社があります。オープンハウスはアサカワホームとホーク・ワン、ヒノキヤグループには日本アクア、パパまるハウス、レスコハウス等がグループとして加わっています。令和時代にはもっと多くの企業同士のグループ化、資本提携や業務提携というものが起こってくると見られます。これからの住宅市場激変の時代へ向け、グループ化が加速していくはずです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)