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平成の家族。~「暮らし」と「食」をデータで振り返る~ Part3 平成20(2008)年

2019.7.19

1986年設立の「都市生活研究所」は、多面的な調査・分析をもとに、都市生活者の暮らしを創造するための提言を行っています。都市生活研究所では蓄積してきたデータを基に、「平成」という時代を、ある家族の物語とともに振り返りました。
全4回のうち、第3回となる本レポートは、「エコ・環境」をメインテーマに、平成20(2008)年をご紹介します。

<家族の物語>
夫・隆は、支店勤務から本店勤務に戻り、課長として部下たちをマネジメントしていました。妻・恵子はパートから契約社員となり、愛は無事に就職活動を終え、翔太は米国留学から帰国したばかりと、それぞれがそれぞれの変化の中で、生きていました。

<家族構成>
夫・隆(52歳)  妻・恵子(48歳)  長女・愛(22歳)  長男・翔太(20歳)

<エコ・環境>
女性を中心に環境意識が高まりを見せ、この年、エコ・ブームとなりました。

1恵子はバッグだけではなく、箸もボトルも持参
マイバッグで買い物に行く人が急増しました。

恵子はマイバッグ持参で、スーパーではレジ袋をもらわなくなっていました。バッグだけではなく、マイ箸、マイボトルと熱心にエコ活動に取り組んでいます。シャンプーや洗剤は当然、詰め替え商品を買います。大容量だと、詰め替えにわりと力がいるので、いつの間にか隆の仕事になっていました。
この年、最も身近なエコ活動の1つである「マイバッグ持参」が大ブームになりました。図1のように「買い物のときにかごや袋を持っていく」という人は平成14(2002)年の42%から平成20(2008)年には68.8%にまで増加しました。平成18(2006)年から「改正容器包装リサイクル法」が施行され、マイバッグ持参者に「スタンプ20個で、100円引きのクーポンをプレゼント」などの特典が用意されたことも影響したようです。
図1.スーパーなどへ行くときは買い物かごや袋を持って行く
<家事担当者>
図1.スーパーなどへ行くときは買い物かごや袋を持って行く<家事担当者>

2何でもつけっぱなしの隆は、いつも注意されてばかり
「省エネ」や「節電」の意識は、年々高まっていました。

「また洗面所の電気をつけっぱなし!」「テレビ見てないなら、消したら?」。こまめに電気を消す意識が薄い隆は、今日も家族全員から叱られています。とくに恵子と愛の女性陣は、家族で外食するときにも、マイ箸を持ち歩き、店の割りばしを断るほどエコ意識が高いのです。そんな2人に感化されて、隆はクルマの買い替えでハイブリッド車を選びました。エコカーは家族ウケがよく、ガソリン代が節約できて大満足です。
図2のように、「照明用の電気はこまめに消すようにしている」との設問に「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた人の割合は、平成23(2011)年までは年々増加していました。しかし、それ以降は横ばい傾向です。これは「省エネ・節電行動が定着した」ことの現れと言えるでしょう。
図2.照明用の電気はこまめに消すようにしている
図2.照明用の電気はこまめに消すようにしている

<ライフスタイル>
ケータイやネットが爆発的に普及し、コミュニケーションのあり方が大きく変化しました。

3語学に熱心な愛は、仲間とコミュニケーション
20~30代を中心に、SNSが広がっていきました。

大学生の愛は、英語の勉強が大好きでとても熱心でした。ソーシャルネットワークサービス(SNS)を使って、語学に励む人たちや日本で学んでいる外国人留学生とつながっていました。基本はSNS上だけのやりとりでしたが、信頼関係ができた人たちとは勉強会を開いたりしていました。ある日の朝、恵子が「今日はどこへ行くの?」とたずねると「カナダ人のお友達と会うの。和服を着てみたいっていうから、付き合うんだ」とうれしそうな愛でした。
図3のように、「SNS上のコミュニティに参加している」と答えた人の割合は、女性若年層で高い傾向にありました。その多くは、パソコンではなくモバイルを通じての利用でした。平成20(2008)年当時、メジャーなSNSといえば、mixi(ミクシィ)でした。
図3.SNSに登録・コミュニティにも参加している
図3.SNSに登録・コミュニティにも参加している

4それぞれ自分の世界を持つ愛と翔太も、誕生日は家族一緒
個人化が進む中で、「家族の一体感」が重視されました。

子供が大きくなった佐藤家ですが、変わらないルールが1つありました。それは、「誕生日は家族で祝うこと」。この日は、翔太のバースディ・パーティーでした。「オレ、いくつになるまで親に誕生日を祝ってもらうんだろう」と笑う翔太ですが、隆は「ケータイも家族割りだし、佐藤家はずっと一緒だよ」と冗談で返します。
インターネットや携帯電話が急激に普及し、「個人化」が進んでいました。その一方で、家族や友人、他人や社会と何かを一緒にすることで、大きな充実感・満足感を得ようとする人が増えていました。東京ガス都市生活研究所は、個人がより多くの満足を得るために時間や場所、モノや体験を共有することを「ハピシェア」と名付けました。図4のように、「誕生日」は家族の「ハピシェア」の最もポピュラーな形でした。
図4.家族で一緒に祝っていること
図4.家族で一緒に祝っていること
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