<価値観の変化>
男女間の感覚も、会社選びの感覚も、世代間ギャップがあります。
1彼女とのデートで、おごろうとしない翔太。心配してしまう隆
若い世代では、ワリカンがふつうになっています。
「えっ、彼女とのデートでワリカン? それで大丈夫なの?」。隆の語気があまりに強かったので、翔太は「彼女も働いて稼いでいるわけだし……」と答えるのが精一杯で、たじろいでしまいました。
隆が独身だった時代、デートの費用を女性に負担させることは、どちらかというと「非常識」でした。
「デートの食事代は、男性が払うのが自然だ」という設問に「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた男性の割合は(図1参照)、世代※1によって明確に異なりました。昭和47(1972)年以前に生まれた「創食~游食」世代は6割以上が「男が払うもの」と答えたのに対し、昭和47(1972)年以降に生まれた「選食~ゆる食」世代は3~4割。バブル期までの世代と就職氷河期以降の世代で、価値観が大きく異なっているようです。
※1 都市生活研究所オリジナル世代区分「食・世代」は、昭和生まれの生活者を「食」という切り口で定義しています。食生活は、時代背景(社会事象、流行、教育)や生活者の価値観の変化などと密接に関わりあっています。そのため「食・世代」は、食分野のみにとどまらず暮らし全般において、生活者の価値観や行動の特徴を示すことができると考えられます。
2海外文化にもなじむ翔太は、隆に理解できない感覚の持ち主
「定時で帰れない会社はNG」の若者が増えています。
翔太は30歳。外資系企業に勤め、会社から30分圏内にあるシェアハウスで外国人と生活しています。
「毎日、18時には帰ってみんなと料理するんだ。いろんな国の仲間がそれぞれ自国の料理を作るから楽しいよ」と言うではないですか。定時には帰るけれど、仕事には大きなやりがいを感じているー。んんん?このあたりの感覚が、隆にはピンときません。
図2は、昭和52(1977)~昭和56(1981)年生まれの「装食世代」と昭和57(1982)年~昭和63(1988)年生まれの「ゆる食世代」を対象に「定時で帰れない会社には勤めたくない」かどうかを聞いた結果です。「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた人の割合は、「装食世代」の24.9%に対して「ゆる食世代」は40.3%。無理をしない「ゆる食世代」の特徴が表れています。
<全員子育て>
ママがフルタイムで働くのが当たり前に。支え合っての子育てが必須の時代です。
3夫は協力的でも、「自分の時間」はほとんどない愛
「共働きママ」の忙しさが際立っています。
「行ってきますっ! 大輔、悪いけどあとお願いね」
長女の愛が、朝食もそこそこに出かけていきます。3年前に結婚して1児の母。実家のそばにマンションを購入し、今も正社員としてフルタイムで働いています。
愛の夫・大輔は大学時代の同級生でメーカーの研究員。愛の実家近くに住むことにも賛成してくれました。恵子は出勤日を減らして週2回、保育園へのお迎えを手伝っていますが、自分の子育て時代とはまったく異なる「共働きママの忙しさ」に驚くばかりです。
図3は、ママたちの時間意識に関する調査結果です。働き方で分けた4タイプを比べると、フル共働きママ※2は「時間をお金で買いたいと思うことがある」と答えた割合が他のママたちに比べて高く、「時間が欲しい」という切実な思いが表れています。
※2 共働きの定義
一口に「共働き」といっても、妻がフルタイム正社員の家庭と週2~3回の短時間パートの家庭では、ライフスタイルや価値観は異なると考えられます。
そのため、都市生活研究所では、妻の働き方によって子育てファミリーを以下の4つのタイプに分類し、定義しました。
4愛の夫・大輔は、朝も晩もしっかり協力していますが……
夫の家事は、妻の評価を得られていません。
愛の夫・大輔が、仕事の休憩中に先輩研究員と話しています。「いやぁ、仕事しながら子育てはたいへんですねぇ。楽しいですけど」「ちゃんと分担してる? 家事とか育児とか」「朝は子どもを保育園へ送って、夜は夕食の片づけや部屋の掃除、風呂も洗っています」
なかなか自信たっぷりですが、果たして愛は、大輔の協力に満足しているのでしょうかー。
子育て中のママとパパに「夫と妻の家事分担比率は?」と聞いたところ、フル共働きパパでは「自分は2割以下」と答えた人は30%であるのに対し、「夫は2割以下」と答えたフル共働きママが半数以上という結果が出ています。以前に比べると、家事分担している夫は増えていますが、自分が思うほど妻の評価を得られていないケースも多いようです。