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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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寒い住宅の健康リスクを知ろう! 高齢者が安心して住める家態

2019.12.20

高齢化の進展を背景として、高齢期の住まいのあり方が注目され始めています。長寿命化により、定年退職後の期間が長期化していることに加え、高齢者の多くが自宅での生活の継続を望んでいるためです。住み慣れた我が家で健康で長く過ごすためには、何が大切になるのでしょうか。都市生活研究所では、これまであまり知られていない「寒さによる住まいの健康リスク」に着目し、対策の一助となり得る、健康で快適な暮らしのための最新知識をご紹介します。

1高齢者の住まいの多くは、現行の断熱性の基準を満たしていない

高齢者の住む世帯の約7割は持家戸建住宅であり、そのうち半分が1980(昭和55)年以前に建築された家という実態があります(図1)。これらの住宅は、現行の断熱性の基準を満たしておらず、多くの住まいに健康に関する様々なリスクが潜んでいると言えます。
図1.高齢者世帯の住宅の所有・建て方
図1.高齢者世帯の住宅の所有・建て方

2高齢になるほど健康への関心は高まるが、住まいへの関心は低い

東京ガス都市生活研究所が20~74歳の男女に行ったアンケート調査によると、「今後の生活で重視したいこと」で「健康に関すること」と答えた割合は、高齢になるほど高く、20代では約3割に対し60代以上では8割を超えています。一方で「住まいの充実」と答えた割合は全年代で約1割に留まり、住まいへの関心・優先度は低いようです(図2)。
図2.今後の生活の中で重視して行っていきたいこと
図2.今後の生活の中で重視して行っていきたいこと

3足元が寒いと、高血圧の通院リスクが1.5倍になる

日本国内では約9割が低断熱・無断熱住宅であることから、国交省は住環境の健康リスクを懸念し「スマートウェルネス住宅等推進事業調査」を行いました。この調査によると、床付近の室温が低い家では、様々な疾病・症状を有する人が多いことが分かってきました。
その一例として、調査対象となった住宅の室温をもとに、床上1mと床付近室温との組み合わせで「暖かい家」「足元の寒い家」「全体が寒い家」の3群に分けたところ、「暖かい家」の高血圧の通院リスクを1としたときに、「足元の寒い家」ではリスクが1.51倍、「全体が寒い家」では1.53倍であることが分かりました(図3)。
図3.住宅の暖かさと高血圧の通院リスク
図3.住宅の暖かさと高血圧の通院リスク

4足元を暖めることで、血圧を下げる可能性が

近年増加している高断熱住宅(平成11年基準以降の断熱性の良い住宅)でも、足元の暖かさに配慮する必要があります。
慶應大学の伊香賀らが行った研究によると、高断熱住宅の場合でも、暖房方式により高齢者の高血圧の申告割合に違いがありました(図4)。
最近では気流式暖房でも足元を暖める方式が出ていますが、足元が寒くなりがちな気流式暖房よりも、床暖房の方が、高血圧の申告割合が低くなる可能性があります。
図4.高血圧の申告割合(「申告なし」を表示)
図4.高血圧の申告割合(「申告なし」を表示)

5高齢者が安心して住める“暖かい住宅のすすめ”

「老後にむけて家の寒さに配慮すべきである」と意識している方は少ないのではないでしょうか。本レポートでは、日本国内で得られつつある最新の知見から、「寒い住宅の健康リスク」「足元が寒い住宅の健康リスク」「対策の一例」をご紹介しました。定年退職後の期間、愛着のある自宅で長く生活するためにも、「家の暖かさ」の大切さに目を向け、高齢期の住まいの備えを始めてみてはいかがでしょうか。