色彩:「ラテンアメリカ」からインスパイアされたカラー
まずは、色彩です。2020年から2021年にかけて大切な提案色は落ち着いた色調の、オレンジ系、グリーン系、ブルー系のカラーといえます。毎年注目を集めるトップブランドの一つ、「クリスチャン・フィッシュバッハ」は、今年「ラテンアメリカ」をテーマに選び、提案色は「テラコッタ」です。ブランドディレクターのカミラ・フィッシュバッハさんは、「陽気なラテンアメリカの人々の温もりを感じるテラコッタは、重要」といいます。また、自然を表現するグリーン系は改めての注目色です。ヒイラギの葉のような濃い緑「ホリーグリーン」、磁器の青磁から由来する優しく青白みをもつ「セラドン」など。ブルー系では、手仕事を感じさせる力強さと優しさを兼ね備えた「インディゴ」です。
素材:サスティナビリティ(持続可能性)を強調した和紙
素材では、綿や麻、和紙など再生できる自然素材が注目です。屏風のようなパネルが並ぶ大きな壁紙「ペーパー・スカルプチャー/ ニシモ」は手作業で立体感のあるペーパーアート。アバカ麻60%と梶の木の繊維40%をのり状にした材料を幅3mの作業台に薄く伸ばし、コームで枯れ山水のようなうねりを付けます。黒い色は天然色素で染め、乾燥後に刷毛を用いて金色の波模様を描き、できあがったパネルに不織布の補強材を付けて完成です。エコとサスティナビリティ(持続可能性)を強調するフランスの壁紙ブランド、エリティスの最高経営責任者(CEO)のパトリス・マロー・デ・グロットゥさんは「日本で伝承される手すき和紙に発想を得た」と語ります。
模様:インテリアがジャパン&オリエンタルに
模様では、まず、「日本・ジャポニズム」が満載でした。インテリアブランド「ミッソーニ・ホーム」では、日本の伝統技術の絣織からヒントを得たモダンな幾何学模様のソファを発表しました。その他にも、折り紙や青海波など、日本の伝統文化に感化された作風が話題を呼びました。ピエール・フレイ(仏)は、「オリエンタル」がテーマ。サウジアラビアやトルコなどの民族の暮らしや手仕事、衣装、生い茂る植物や野生動物などの自然環境が発想源となっています。
技術:ハイテクに優しさを添えて
斬新なデザインで定評のあるスイスのヤコブ・シュレイファーは、オートクチュール御用達のテキスタイルメーカーです。裏生地は残し、表生地だけをレーザーカットする特殊技術の「キューブカット」や裏地をカットして作る透け感をあえて表地に表現した「フロントレーザーカット」は、色彩豊かな優しさを秘めています。
押さえるべきインテリアポイント
インテリアトレンドを知ることで、お客様への提案に説得力が増します。トレンドカラーを把握し、手仕事や優しさ、温かみを感じるような空間デザインを心掛けてみてください。
テキスト:堀 和子(ホームファッションラボ)
監修:リビングデザインセンターOZONE