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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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住宅新商品トレンド ハウスメーカーもちょうどいい家で若年層攻略

INDEX 2020.3.19

若年層のエンドユーザーにとって、大手ハウスメーカーの住宅は手の届かないものになりつつあります。平均単価は年々上昇しており、現在約4,000万円近くまで高まっています。土地購入が前提となる顧客であれば、当然建物にかける予算は小さくなり、ハウスメーカー以外の住宅会社に移行するエンドユーザーは一定数いるでしょう。また、2019年は「老後2000万円問題」もメディア等で大きく取り上げられ、世間の将来不安を煽る形となりました。人生100年時代とも言われている中で、老後に向けて貯金をある程度残しておきたいという心理がエンドユーザーに働くはずです。

ハウスメーカーを選択肢から外したエンドユーザーの受け皿となっているのがビルダーです。タマホームや桧家住宅はその筆頭であり、ハウスメーカーを諦めた顧客を上手く捕捉しています。価格を抑えられ、一定以上の住宅性能を確保でき、ハウスメーカーの住宅ほどお金を出さなくとも十分満足できる住宅を取得できるようになったのも事実です。
この顧客がビルダーに流れていく傾向が強まれば、当然ハウスメーカーで住宅を検討するエンドユーザーが減少し続けます。そこで、ハウスメーカーは価格を抑えた新商品の発売という形で、顧客を手放さないような手を矢継ぎ早に打ち出しています。

1新会社設立でセカンドブランド本格化~積水ハウスノイエ

「パルタージュ」積水ハウスノイエ

積水ハウスはこの2月、戸建住宅のセカンドブランドを販売するグループ会社「積水ハウス ノイエ」を新設し、営業をスタートさせました。2,000万円台の価格帯で、20~30代の一次取得層をターゲットにした商品展開です。これまではエリア別に展開している積和建設グループ17社が、木造住宅事業「積和の木の家」や一般住宅のリフォーム事業などを展開してきました。この内13社の新築戸建住宅事業の販売部門と、人員を、「積水ハウス ノイエ株式会社」に事業分割し、10ヵ所に営業所を新設しました。10営業所以外のエリアに関しては、従来通り積和建設4社にて受注・施工を行い、沖縄以外では基本的に対応できる体制を採っています。

商品としては、18年11月にそれまで積和建設各社が独自に運用してきた調達、物流などを全国で一本化したことで、高性能でありながらも坪単価55万円~と、高いコストパフォーマンスを実現する「パルタージュ」という商品を販売していきます。そして今回の新会社の設立に当たり、これまで切妻のみだった屋根形状に、新たに寄棟屋根を追加して、多様なライフスタイルへの提案幅の拡充を図りました。
性能面については、耐震等級3、断熱等性能等級4、樹脂サッシ+Low E複層ガラス標準、オプションでZEH対応可、省令準耐火構造など、必要十分な機能を網羅しており、品質・機能・価格について「ちょうどいい家」として訴求しています。対ビルダーを想定するのであれば、十分高い水準の住宅性能を有しています。

2WEB上で理想の住まいを発見「ライフジェニック」~大和ハウス

「ライフジェニック」大和ハウス

大和ハウスは19年11月、Webサイトを通じて販売する戸建住宅商品「ライフジェニック」を発売しました。いわゆる企画型商品で、パッケージ化した内装品や設備などのお勧めのコーディネートパターンを用いることで、家づくりにおける打合せを効率化しています。家づくりにおける複数回にわたる打合せを簡潔にしてコストも抑え、価格は97.72m²で税込み1,978万円を実現しています。

ライフジェニックの発売に合わせて開発されたのが、Webサイト上で楽しく家づくりをするための「ライフスタイル診断」です。同診断では、住宅購入者の志向解析のため、衣食住に関する6つの質問を出題し、その結果に基づいて、類型化した4種類のライフスタイルから最も共感度の高いひとつを提案し、そのスタイルから外観やインテリアを提案します。
また、デザインや設備などの条件を選ぶ「こだわり条件」によるシミュレーションも用意されています。「こだわり条件」では、「10の外観デザイン」「5つのインテリアスタイル、水回り設備(キッチン・洗面・トイレは各16種類、バス9種類)」「間取りプラン(89種類)」から仕様やデザインを決めると、概算価格が提示される仕組みになっています。

販売窓口は原則、Web経由に一本化しています。「ライフスタイル診断」や「こだわり条件」などで住宅に関する検討客の好みを予め把握するとともに、接客する営業担当者も専門担当者を各事業所に配置し、接客時間の効率化を図っています。また、インテリアスタイルごとに家具や照明、窓周り提案をパッケージ化しており、インテリアコーディネーターの業務や営業担当者によるインテリア提案を効率化しています。なおインテリアコーディネーターがインテリア提案をする場合は、別途費用が掛かってきます。

3その他メーカーも企画化・低価格化進む、ネット商品再参入~ヤマダホームズ

「ネットdeすまい」ヤマダホームズ

ヤマダホームズはこの1月、住宅商品「ネットdeすまい」を発売しました。WEB上における住宅販売については、旧エス・バイ・エル時代の2001年、ネット活用の「すまい21」という住宅提案を展開していました。この商品はピーク時で年間200棟以上、累計では2,500棟に上るなど反響が大きく、ネットを活用した先駆けと言える商品でした。

今回、新発売となった「ネットdeすまい」は、コストパフォーマンス重視の「ベーシック」と、高性能・納得価格の「プレミアム」の2つのスタイルが用意されており、価格は税抜坪29万円~に設定しています。プランと内装・外装は共通で、ユーザーの暮らし方や要望に合わせてオプションを選択するシステムを設けています。全プラン本体価格を明示し、標準仕様、オプション項目の価格も明確なので、ユーザー自身で価格設定、資金計画を組むことができます。なお、プレミアムスタイルでは、第三者機関の評価による設計性能評価書と建設性能評価書に加え、長期優良住宅の取得を標準仕様としています。
代表的なプランは、まず1階は壁を極力排除した大空間としています。使い方も様々で、リビングの一角には「EXスペース(エクストラスペース)」を設けています。子どもの誕生直後は子守スペースとして、成長してからはキッズコーナー、勉強コーナー、趣味室へと使い方を変えていくことができます。家族の成長と共に気軽に変化させて愉しめる、新たな空間を提案しています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 斎藤 拓郎さん)