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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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ビルダー販促事例 「モノを見せる」集客から「コトを教える」集客へ

INDEX 2020.3.19

現在の消費者は「モノ消費」から「コト消費」にシフトしていると言われています。モノを所有するよりも、コトの体験をより重視するという傾向です。住宅は建物としてのモノと、生活の場としてのコトの両面がある商品です。ですので、住宅営業においても、性能や構造といったモノの良し悪しだけでなく、そこでどのような暮らしができるかというコトの説明が重要になってきます。
集客においても、展示場や完成見学会でモノを見せることよりも、何らかのコトを体験してもらうことが重要になってくると考えられます。住宅の外観・内観や性能、仕様は、WEBでも事前にある程度の情報を得られます。わざわざモデルハウスや完成現場に足を運んでもらうには、性能を体感できたり、OB客の話を聞けるといった、コトを提供する仕掛けが必要となってきます。

1検討初期段階の「コト集客」

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住宅検討初期のお客さまで、すでに数社の比較検討の段階まで進んでいる場合は、コト体験型の集客で他社と差別化することが、自社への理解を深めてもらい受注につながることとなるでしょう。ではコト集客とは、どのようなことをすれば良いでしょうか。

住宅営業においてやるべきことは「お客さまの不安を解消すること」と「自社(の商品)を売り込むこと」の二つに集約されます。住宅は一生に一度の大きな買い物であり、ほとんどのお客さまにとって初めての経験のため、お客さまは様々な不安を抱えています。その不安を解消しないままに、いかに自社の住宅が良い商品なのかを説明しても、「貴方の会社にお願いします」という話にはなりにくいものです。そこで、初回接客の段階でまずはお客さまの不安を解消しておくべきです。

初回接客をモデルハウスや完成見学会で行う場合、お客さまも「家(モノ)を見学に来ている」という感覚のことが多く、営業マンが話す内容もお客さまがそのときに見ている建物の説明中心になりがちです。ところが「この建物はいくらぐらいするのだろう」、「今は家を買うのに良いタイミングなのだろうか」、「まだこの会社を候補としているわけではないのに」といった不安があるままで建物の説明をされても、お客さまの心には届きにくいかもしれません。そのため、一通り建物を見ていただいた後は着座してもらい、現状のヒアリングや不安の解消を行うわけですが、「見るだけのつもりだった」、「時間がない」など、着座を断られることも少なくないのではないでしょうか。

そこで「見学(モノを見せる)→不安の解消(コトを教える)」という順番を逆にして、「不安の解消(コトを教える)→見学(モノを見せる)」という順番で進めるほうが良いかもしれません。見学会ではなく、お客さまの不安を解消する勉強会やセミナーへの集客を初回接客とする方法です。

2勉強会、セミナーで不安の解消とフレーミング

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住宅検討初期客様向けの「家づくりセミナー」では、その内容を前半と後半に分け、前半で不安の解消、後半で自社へのフレーミングを行っていきます。
お客さまの住宅購入における不安の多くは、時期のこととお金のことです。
時期については、現在は住宅ローンの金利が史上最低レベルに低いことや、住宅の建築費が徐々に高騰していることを説明し、「今が買い時」「動くなら早い方が良い」と伝えます。現在はもうギリギリのタイミングですが、住宅ローン減税や次世代住宅ポイント、住まい給付金などの支援制度を活用できるので、そのお得な内容と期限を説明することで、「今が買い時」と伝えられるでしょう。
お金のことは、住宅ローンの概要説明と、実際にいくら借りるとだいたいどれくらいの支払月額になるかをシミュレーションし、無理のない支払計画で総予算を考えることをお勧めします。より細かく予算を検討したいお客さまには、ファイナンシャルプランナーによる資金計画をお勧めして次回アポを取るという方法もあります。

セミナー後半では、会社選びや家選びの進め方を説明することで自社にフレーミングします。例えば断熱性能に自信がある会社であれば、「住宅にとって一番大事なのは、住み始めてからの暮らしが快適であること。夏涼しく、冬暖かい快適な住宅を選ぶためには、各社の断熱性能を比較するほうがいいですよ」と説明することで、自社が選ばれやすくなります。自然素材を使っている会社であれば「住宅にとって一番大事なのは、住まう人の健康です。シックハウスの原因となる化学物質を使った家より、自然素材を使った家を選びましょう」と説明することで、自社の強みにフレーミングできます。
セミナーで不安の解消と自社へのフレーミング(コトを教える)を行った上で「一度実際に私どもの建物を見てみてください」と見学会(モノを見せる)に誘客し、そこで建物の説明をすると、構造や性能、設計・間取りのこだわりなど、自社が伝えたいモノも伝わりやすくなるはずです。

31日がかりのツアーイベントでファン化…ヤマサハウス

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1日がかりのイベントで不安の解消、フレーミングからファン化までを行っている事例もあります。鹿児島県のヤマサハウスが毎月第一日曜に実施している「住まいづくり探検ツアー」では、県内の各営業所からバスで本社に参加者を集め、午前はセミナー、午後は見学会を行って自社への理解を深めてもらっています。
午前は社長のあいさつと会社の歴史・財務内容等を説明する会社案内から始まり、住宅の性能について説明する納得セミナー、OB客に家づくりのアドバイスや住み心地を語ってもらう新築体験セミナーを行います。午後からは構造模型見学、プレカット工場見学、モデルハウス見学を行い、集合場所のそれぞれの営業所に送り届けて解散という流れです。

このイベントのポイントは、会社案内は社長、住宅の性能は設計担当、家づくりの進め方や住み心地はすでに同社で家を建てたOB客、構造は工事担当、木材のことは工場スタッフというように、それぞれのテーマを最も得意な人が説明するという点です。経験の浅い営業マンはモデルハウスでの初回接客でそれぞれをしっかりと説明できなくても、アポを取ってこのイベントに連れて来ることができれば、それよりも上手い人の説明で自社への理解を深めてもらうことができます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)