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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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制度・マーケット情報 住宅業界のコロナショックの影響

INDEX 2020.4.17

刻一刻と状況が変わり、一寸先が読めないという今回の新型コロナウイルスの怖さは、命の危険ということと同時に、経済への悪影響が何処まであるのか計り知れないということでしょう。世界中を震撼させている見えない敵で、経営的にもどういう対処法で臨むのかという非常に難しい舵取りを迫られています。
業界ごとにそのダメージは異なってくると思いますが、住宅業界へのマイナス影響も甚大なものです。今回は3つの観点で取り上げてみたいと思います。第一は、サプライチェーンの影響、第二に経済停滞における影響、第三はイベント中止等の自粛ムードから緊急事態宣言が発出されたことにおける影響及びその対策で考えてみます。

1サプライチェーンの混乱と設備‘危機’が襲う

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コロナショックの影響が真っ先に出たのはインバウンド需要でしょう。中国人を中心とした訪日観光客にかなり依存していた旅行、ホテル業界は、2月頃から非常に厳しい状況に迫られました。住宅業界でもこの中国発のコロナ危機が起こったことにより、2月中旬くらいになると、住宅設備の納期遅れの問題が相次ぎました。中国での工場の生産、そして物流関連もストップしたことによってサプライチェーンが滞り、その多くは水回り設備においての部品調達で発生しました。IH調理器、トイレの温水洗浄便座、食洗器といった設備の一部部品が中国での生産に頼っていたことで、全メーカーにおいて一時生産がストップ、または逼迫しました。サッシ等は国内生産でまかなうことができるため影響は少なかったようですが、水回り設備機器はほぼ全製品に及んでいます。4月以降は多少緩和されているとも聞きますが、3月中は納品はいつになるか分からない状態が続きました。
設備がない状態では完工できないということで、特に中小工務店にとっては厳しいしわ寄せがいったと思われます。資金繰りが潤沢でない場合、完工できずに売上が立たないケースも出てくるため、この状態が長く続くようであれば、倒産する企業が出てくる可能性も否定できません。
完工検査に関しては、国交省から特例措置のようなものが出たり、また金融支援機構でも設備後付けという状態で融資実行という措置も出されていますが、もうしばらく設備遅延の状態は続きそうです。

2経済的なダメージが深刻化、世界同時株安が進む

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経済的なショックとしては、ダウ平均株価、日経平均株価などの乱高下が続き、今は多少持ち直していますが、非常に不安定な状態で、世界同時株安の渦中にあることには変わりありません。コロナショックにより世界経済が揺さぶられています。この経済の混乱、景気の悪化は、間違いなく住宅市場に直結してきますが、まず株価の下落に関しては特に富裕層に影響してきます。高額なマンション、現金で行うような大型のリフォーム工事など、株価好調時にはニーズが高まりますが、今の状況では購買意欲は大幅に減退しているはずです。
同時に地価にも影響は出てくるでしょう。J-REITなどの不動産投資はすぐに影響が出ましたが、地価においてもまずはインバウンド需要で上昇してきたエリアは、地価の大幅下落は避けられません。特に地方都市で外国人観光客によって、地価が引き上げられてきた北海道の倶知安や沖縄、京都、金沢、岐阜県高山といったあたりもダメージは大きいでしょう。

そしてこの非常事態は、全ての人にとって住宅購入への気持ちを前向きにしにくくさせています。今すぐに住宅を購入したり、建て替えたりする必要がないのならば、この先行き不透明な混乱が収まってから考えようという動きになるはずです。場合によっては進めていた商談のキャンセルも出てくるケースがあるでしょう。

3非常事態宣言が発出で何をすべきか

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4月8日には、国から非常事態宣言が発出されました。既に2月の中旬くらいから、イベントを自粛しようというムードが広がっており、3月になると住宅会社でも集客活動・イベントは行えないような状況が続いていました。この頃から既に人々が不要不急の用事では外に出歩かないようになり、心理的にも人が集まるところにはあまり行きたくないという雰囲気になってきました。
このような状態の中、いよいよ非常事態宣言が出されたため、消費マインドは完全に冷え込み、物理的にも営業活動は出来なくなっていると思います。前向きに検討してもらっている管理客には、最大限の注意を払いながら、予約制で少数打合せ、またはオンライン打合せなどで乗り切っていくしかありません。

また住宅購入そのものにも影を落とします。在宅勤務にシフトした会社も多く、更には営業自粛要請で営業できない会社も多く出て来ています。大手の会社員ならば給与は保証されるところはあるでしょうが、個人事業主や低所得者で配偶者がパートで稼いで家計を賄っているような場合は、もう住宅購入どころではなくなってしまいます。実際に給料が減ったり、最悪の場合、会社を解雇されたり、会社が倒産するというケースも出てくるでしょう。低所得層でローンもギリギリといった世帯であれば、住宅購入したくてもローンが付かずに、諦めないとならない状況にもなってきそうです。

このような事態になり、住宅会社は当面どうやって販促活動をすべきでしょうか。今回は紙面の都合上、ポイントだけになりますが、以下の販売戦略を取ってみてはいかがでしょうか。基本的にはストックビジネスの方がやりやすいと思われます。

  • ・オーナーへの接点強化につなげる(新築の新規顧客開拓は難しいので、特に今のご時世でもあり、オーナーへの御用聞きとして、訪問しないまでも電話などで、お困りごとがないかを聞いていく)
  • ・在宅勤務がにわかに進んでいるため、テレワーク対応住宅のニーズは高まっている(防音書斎などテレワーク対応のリフォーム、新築共に提案はあり)
  • ・オンライン商談のチャレンジ(おそらく終息後も世の中の常識が変化しているため、オンライン商談の仕組み、自社のテレワーク導入、工事の遠隔管理など、働き方改革も進める)
  • ・ブログ・SNSなどの更新の積極化、ネット営業・メール営業を仕掛ける
  • ・非常時にも稼げるようなサブスクリプションビジネスを導入する(住宅業界では家賃収入、マンション管理サービスなどが定期収入が入るビジネスの代表例)

本当に大変な非常事態になっています。今は我慢しなければならないことがたくさんありますが、やれることをやり、何とかこの危機を乗り越えていきましょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)