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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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住宅新商品トレンド 地震・台風・豪雨を乗り越えるためのレジリエンス住宅が新たに登場

INDEX 2020.6.19

住宅のレジリエンス性の重要度は年々高まっています。この背景には周知の通り、自然災害の増加が挙げられます。2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨、道内全域で大規模なブラックアウトを誘発した北海道胆振東部地震、2019年には関東を中心とする台風被害など、毎年のように全国各地で自然災害が発生しています。日本国内における自然災害は頻度、規模共に拡大していると考えられ、気候が亜熱帯化している今、これからも定期的に発生する可能性があります。普段から有事を想定した備蓄品を用意することはもちろんですが、住宅自体が災害から居住者を守る仕組み作りも大切です。
構造躯体などのハードの開発の強みに事業展開してきたハウスメーカーは近年、「レジリエンス」をテーマとする商品を次々と発売してきました。耐震性能の向上は最たる例ですが、近年はインフラに関わる、電力、水の確保に焦点を当てた提案も多くなっています。
しかしながら、レジリエンス性を高めるということは、ハウスメーカーだけでなく、住宅業界全体の課題と言えるでしょう。居住者の命を守ることができる住宅を造っていくことは住宅会社が実現すべき目標であり、課題です。

16アイテムでレジリエンス向上「レジリエンスパッケージ」~三菱地所ホーム

レジリエンスパッケージ概念図~三菱地所ホーム

三菱地所ホームはこの2月、「レジリエンスパッケージ」を発売しました。同社はこれまで耐震性・断熱性の高い構造に加え、全館空調システムのエアロテック、太陽光発電、エネルギー換気システム、HEMSを取り入れた住宅商品を開発してきました。今回紹介する商品はこれらの基本性能に加え、さらなる安心・安全・快適の提供を目指した、6アイテムから構成される災害対策パッケージです。

6アイテムの内、紹介すべき一つ目の設備は「大容量蓄電池」。蓄電量は9.8kWhに上ります。一般的な蓄電池のように、停電時に使用できる機器を限定することなく、家の中で全ての電気を使用できるとのことです。電力負荷の大きいエアロテックも使用できる性能を有するため、真夏や真冬に停電になっても安心です。
二つ目が「ハイブリッド(電気・ガス)給湯器」です。電気とガスの両方でお湯を沸かすことができる給湯器で、平常時は給湯にかかるコストをガス給湯器に比べて、約50%削減できるということです。また、電気・ガス両方のライフラインが断絶された非常時には、蓄電池に蓄えた電気を活用することでお湯を沸かすことができます。さらに、断水時に関してもタンクに溜まったお湯を生活用水として使用することが可能です。
この他、強風時の飛来物による割れや割れた場合のガラスの飛散を軽減する「防災安全ガラス」やHEMSと対応することで外出先からもスマートフォンで開閉ができる「宅外操作対応電動シャッター」、災害が発生した場合に外出先からでもスマートフォンでワイヤレスカメラの映像を通じて自宅の様子を確認できる「見守り機能付テレビドアホン」、汚水の逆流を防ぐ「逆流防止弁付排水マス」がこのパッケージに含まれています。
この商品は災害時だけでなく、普段の生活においても有用な設備です。価格は税抜280万円に設定しています。

2電気・水・地震のソリューションを提供「NEXIS/ネクシス」~ヤマダホームズ

ネクシス~ヤマダホームズ
オフグリッド蓄電池のイメージ~ヤマダホームズ

ヤマダホームズでは2019年10月、レジリエンスをコンセプトとする商品「NEXIS/ネクシス」を発売しました。新築だけでなく、リフォームでも導入可能としています。

この商品は「電気・水・身の安全」に焦点を当て、ライフラインが滞った時に電力、水が不足するという居住者の不安を取り除き、さらに住宅の一部をシェルター化することにより外部からの衝撃から居住者を守ることを目的としています。
「電力」に関してはグループ会社のヤマダトレーディングとの共同で開発したオフグリッド蓄電池を用意しました。電力会社と電源がつながっていない状態でも家電を使用することができることも特徴です。太陽光発電システムを5kW以上搭載している住宅であれば、理論値上電力自給自足の生活が可能となります。

「水」の確保に関しては専用の製水器が機能します。花粉やPM2.5を取り除く高性能のHEPAフィルターによって空気中の埃や塵などをブロックして空気を浄化し、その綺麗な空気に含まれる水蒸気から飲料水を1日当たり16~26リットルを生成できます。さらに、三層のろ過装置、電気分解殺菌装置などを通過することで安全安心な水となり、断水時にも住宅の中で毎日水を生成できるため、水不足の問題の解消につながります。
三つ目は住宅のシェルター化です。同社は住宅の中に設置できる4畳半サイズの耐震シェルターを開発しました。自社で行った圧縮耐荷重試験では、2階建木造住宅の約3棟分に相当する100トンの耐荷重環境でも、9mm以下の歪みに留まりました。構造部材に「S×L 構法」で使用している木質接着パネルを使用することで、耐久性能を向上しています。
そしてこの5月、同社は新たに「NEXIS 抗菌+(プラス)」を発売しました。新型コロナウイルスの蔓延を受け、ウイルスや菌等に対するソリューションとしてこの商品をいち早く開発しました。床には室内照明が当たるだけで、不快物質や不安物質を水や炭酸ガスに分解、除去する「エアーウォッシュ・フローリング」、壁に関しても同様な効果が得られる「光触媒クロス」の採用を提案しています。

3「IoT」、「AI」を駆使して生活サポート「新・スマートパワーステーション」~積水化学工業

新・スマートパワーステーション~積水化学

積水化学工業は2019年10月、IoT機能の強化により、エネルギー自給自足を実現した「新・スマートパワーステーション」を発売しました。この商品は「安心性」、「経済性」、「利便性」の強化がテーマです。

「安心性」については、例えば大雨、洪水や暴風などの気象警報のいずれかが居住地域に発令された際、自動的に蓄電池への充電を開始する「蓄電池自動充電機能」を新たに導入しました。これにより、事前に複雑な蓄電池の操作をせずとも、停電発生時に蓄電残量が不足するリスクを軽減することができます。
「経済性」に関しては、PVシステムが発電した電力を無駄なく使用できるようになりました。トライブリッドパワコンを搭載したことで、PVで発電した余剰電力を蓄電池や電気自動車へ効率良く充電することが可能です。
「利便性」に関しても、同社の全館空調システムである「快適エアリー」を、AIスピーカーを介して音声操作が可能となりました。今後の生活のテーマとなる「IoT」や「AI」システムを上手く利用した商品と言えます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 斎藤 拓郎さん)