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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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ビルダー販促事例 ビルダーのYouTube活用事例

INDEX 2021.3.19

新型コロナウイルスの感染拡大から、世の中は新たな生活様式に移行してきています。大きな変化の一つが、不要不急の外出や、用事もないのに大勢が集まる場所へ出かけるといった行動が避けられるようになり、在宅時間が長くなったことでしょう。市場調査会社のインプレス総合研究所が実施したインターネット調査によると、感染予防の外出自粛により在宅時間が増えたことで「どのような活動が増加したか」という設問に対し、「無料の動画を見る」が27.5%で、「テレビ番組を見る」の26.3%を上回って最も多く、以下は「掃除や片づけをする」「インターネットでの情報収集」「料理をする」と続きます。

無料動画配信サービスの中でも利用者が多いのがYouTubeです。一般の素人でも気軽に動画を投稿できるサービスで、それを専業とする「YouTuber」は子どもが将来なりたい職業の上位にランキングされるようになっています。WEB戦略の一つとして、自社でYouTubeにチャンネルを開設して情報発信する住宅会社も増えてきました。

1YouTubeの利用価値が高まる

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コロナ以降の家づくりでは、検討初期の情報収集をするために、不特定多数が集まる総合展示場になんとなく訪れるという行動が減っています。事前にWEBで情報を精査して候補を絞り込んで、予約を取ってから来場するという行動が一般的になりつつあります。住宅会社にとってWEB戦略の強化は以前から大きな課題でしたが、コロナによってその重要性はより高まっていると言えるでしょう。
WEBメディアでは、テキストよりも画像、画像よりも動画のほうがより多くの情報をわかりやすく伝えることができます。また、ポータルサイトのように広告料を支払って情報を掲載してもらうWEBメディアも効果がありますが、自社のオウンドメディアでは、広告費をかけずに自由に情報発信ができます。「動画」をコンテンツとする「オウンドメディア」である「YouTube」の利用価値は高まっていると言えるでしょう。

YouTubeに動画を投稿する際には、注意しておくべきポイントがいくつかあります。
まずは動画として最低限のクオリティを保つこと。素人でもスマホ等を使って簡単に動画を撮影・編集できるようになりましたが、その分レベルも高くなっています。投稿されている他の動画と比べてあまりに画面が荒い・暗い、声が聞き取りにくいと、継続して見てはもらえなくなります。高価なものでなくてもマイクやカメラ等の機材を揃え、撮影場所の明るさ、背景などにも留意すべきでしょう。
投稿動画の長さは1本当たり5~10分、長くても20分ぐらいが見てもらいやすい長さでしょう。複数のテーマをまとめた長時間の動画よりも、1テーマごとに分けて複数の動画を作るほうが、退屈させずに見てもらうことができます。

2物件紹介、お客様の声… Lib Work、桧家住宅名古屋

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住宅会社のYouTubeチャンネルの動画では最も多いと思われ、作りやすいのがモデルハウスや建売物件、施工事例の紹介です。
熊本のLib Workでは、20年7月からYouTubeチャンネルを本格始動し、今年2月末時点での登録者数は1.7万人、再生回数が10万回を超える動画もあります。主な動画の内容は、施主の物件を紹介するルームツアーです。内装や外装のデザインやプランの特徴を紹介する内容ですが、社員が物件案内人として出演し、ディレクター兼カメラマンとの掛け合いで、楽しく情報を伝えているところがポイントです。同社ではYouTubeの本格始動にあたって、元YouTube動画クリエイターを社員として採用し、企画やディレクションの専任としています。現在は週2本の投稿ペースですが、動画編集要員を育てて、3年後の登録者数10万人を目指し、受注につながるコンテンツの一つとして強化しているところです。

家づくり検討者が住宅会社で知りたい情報の一つが、その会社で建てた「お客様の声」です。桧家住宅FC加盟店の桧家住宅名古屋では、Zoomに自社のOB客を集めて座談会を行い、YouTubeで公開しています。動画では「桧家住宅の家は高いか、安いか」、「成功したこと、失敗したこと」、「一番印象に残っていること」等のテーマを事前に用意しておいて、司会者がそれぞれの参加者に回答を聞いていきます。1組のOB客だけの話を聞く入居宅見学会とは違い、複数のOB客から良い意見も悪い意見も両方の正直な感想を聞けるので、視聴者にとっては参考になることが多いコンテンツと言えるでしょう。この座談会はYouTubeで公開されるということもあり、マスクで顔を隠したり、モザイクをかけて出演しているOB客も多いです。YouTubeというオープンの場での顔出しを敬遠するOB客への配慮も、動画の企画・制作で気を付けるべきポイントの一つです。

3性能説明、家選びのポイント…森大建地産

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YouTubeに投稿されている中には「元ハウスメーカー営業マンが教える家づくりの知識」のような動画も少なくありません。「○○は選んじゃダメ」、「家づくりで××すると失敗する」というような、否定形のキャッチコピーで反響を得ている動画が多いようですが、このような信頼度がよくわからない第三者ではなく、責任をもって住宅を販売している住宅会社自身が、家づくりのプロの視点で誰にでも役立つ情報を発信することにも意義があり、自社の価値づけをできるはずです。
三重県伊賀市の森大建地産は、HEAT20のG2グレードの外皮性能、耐震等級3、全館空調、自然素材を多用する家づくりを特徴とし、三重県初のパッシブハウスの基準を満たすモデルハウス持つ、性能特化型の地域密着ビルダーです。2年程前からYouTubeチャンネルへの動画投稿を本格稼働し、社長が出演して家づくりの解説をする動画を週1~2本のペースで投稿しています。内容は断熱、気密、耐震等の住宅の基本性能の解説や、実際に施主にお勧めして喜ばれたプランやオプションを紹介しています。客観的なエビデンスと自社施工物件の実測値や経験をもとにした話なので、説得力が強いのが特徴と言えます。
コロナ以降は、性能・構造の著名な住宅専門家のYouTuberが増えたことが同社の受注を後押ししています。YouTubeで断熱やパッシブハウスの情報を得て家づくりを始める客層は、三重でパッシブハウスを建てるビルダーを探すと同社に辿り着くことが多く、他社の性能や価格についても調べ尽くしてからモデルハウスに訪れるため、初回面談で性能が確認できればそのまま契約に進むというケースが増えているようです。

広告予算をいくら掛けたかではなく、企画内容や見せ方の工夫次第で登録者数・再生数を増やせるのが、オウンドメディアであるYouTubeの良さでもあります。他社の事例等も参考に、まずは動画の企画を考えてみましょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)