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30年にわたるデータから、各分野のトピックスを紹介「生活定点観測レポート2020」

2021.4.16

東京ガス都市生活研究所は、首都圏に暮らす人々の生活・意識・行動の現状及びその変化を経年的に把握するために、「都市生活者の意識・行動観測(通称:生活定点観測)」調査を行っています。調査は1990年を始点に3年ごとに実施しており、2020年7月に第11回目の調査を行いました。
今回、30年にわたる「生活定点観測調査」のデータから、各生活分野のトピックスを紹介するレポートを発行しました。本記事では、その中から3分野のトピックスを抜粋してご紹介します。

1「住まい」のトピックス

■コロナ禍で都心志向はやや減少

「狭くても便利な都心」居住を志向する人は05年以降緩やかに増加していましたが、20年は減少し「都心から離れても広い」希望とほぼ同じとなりました(図1)。新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う在宅時間増加などの影響と考えられます。

図1.住まいは「A.狭くても便利な都心がよい。」
「B.都心から離れても広い方がよい。」
図1.住まいは「A.狭くても便利な都心がよい。」「B.都心から離れても広い方がよい。」

■ひとりになれる場所の重要度が上がり、夫婦にもそれぞれの部屋が求められる

仕事でストレスを感じている人に、自宅でのストレス解消に「一人になれる場所の充実」がどれくらい重要かを聞いたところ、「とても重要」または「重要」と回答した割合が05年の69.2%から20年は85.5%に増加しました(図2)。※仕事でストレスを感じている人ベース

また、「夫婦にも別々の部屋が必要である」と考える人は90年の59.1%から20年は73.9%に増加しました(図3)。「自分ひとりの時間や場をつくっている」人も、05年の73.4%から20年は83.7%へ増加しており(グラフ割愛) 、ひとり時間や場所が求められていることがわかります。

図2.自宅でのストレス解消のための重要度【一人になれる場所の充実】
※仕事でストレスを感じている人ベース
図2.自宅でのストレス解消のための重要度【一人になれる場所の充実】
図3.夫婦にも別々の部屋が必要である。
図3.夫婦にも別々の部屋が必要である。

2「コミュニケーション」のトピックス

■コロナ禍で家族揃っての夕食が増え、親子の会話満足度が上昇

「毎日家族揃って夕食を食べる」人は90年の24.4%から徐々に増加していましたが、20年は増加幅が大きくなり42.6%となりました(図4)。また、「毎日家で夕食をとる夫」は、93年は47.2%でしたが20年は70.3%に増加しました(グラフ割愛)。※家族同居者ベース

「親子の会話に満足している」人は08年以降減少傾向でしたが、20年は増加し、84.4%となりました(図5)。※高校生以下の子ありベース

図4.家族揃って夕食を食べるのは、週に何日ですか。(土日を含む)
※家族同居者ベース
図4.家族揃って夕食を食べるのは、週に何日ですか。(土日を含む)
図5.親子の会話に満足している。
※高校生以下の子ありベース
図3.親子の会話に満足している。

3「家事」のトピックス

■男性の家事参加が増加。家事を主に担当する男性も増え、行動・意識ともに進む

【風呂掃除】を「主に担当」する夫は90年の8.0%から20年には27.5%に増加しました(図6)。その他の家事も、以下の通り「主に担当」する男性が増えています(グラフ割愛)。※既婚者ベース

  • 【掃除】(90年3.2%→20年14.9%)
  • 【家計管理】(90年6.3%→20年21.1%)
  • 【ごみ出し】(96年16.5%→17年31.1%)
  • 【食事の後の片付け】(90年2.3%→14年22.8%)
図6.夫は家事をどれくらいしますか。
※既婚者ベース
図6.夫は家事をどれくらいしますか。

■家事はお金をかけて外部化はせず、作業の工夫や機器の利用などで軽減

洋服をクリーニングに出す人が減っています(図7)。洗濯機や洗剤、衣類の素材の技術進歩も背景にあると考えられますが、お金をかけて外部化をせずに、自宅で洗濯をしたいという意識がうかがわれます。

図7.セ-タ-やワイシャツ等は、クリ-ニングに出すことにしている。
図7.セ-タ-やワイシャツ等は、クリ-ニングに出すことにしている。

まとめ

今回、データからごく一部をご紹介しました。このほかにも、「食」「入浴」「環境・省エネ」「仕事・余暇」「生活者の考える暮らし」という分野のトピックスをレポートに掲載しています。

人々の暮らしの変化は、短期間では捉えることが難しく、長期間継続してデータを取り続けることで見えてくることがあります。30年にわたる「生活定点観測調査」には、今の、そしてこれからの暮らしを考えるためのヒントが詰まっていると言えます。

ぜひ、みなさまの取り組みの参考としてご活用ください。

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