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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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制度マーケット情報 リフォームでも動き出すニューノーマル需要

INDEX 2021.4.16

消費増税による市場停滞に続くコロナ禍は、新築もリフォームも大きなダメージを受けましたが、リフォームの方がマイナスは大きかったと見られます。駆け込み需要があった分の反動減の大きさ、コロナ抵抗力の弱さがその要因です。リフォームはシニア顧客が多いことや、工事は必ず施主宅で行われるために、三密を避けようとリフォーム工事を敬遠、先延ばしとするケースが多く、コロナダメージは大きく出ました。

一方で、落ち込んだ後の回復力は高いと見られます。新築のように受注から引き渡しが長いと、長期に亘って影響が出る傾向がありますが、リフォームは工事期間も短く、マイナス影響も比較的短期で正常化できるという業態でもあるでしょう。
おそらく昨年10~12月期は市況感もやや戻り、前年が反動減期に当たることから、前年よりもプラスに動いたところは多かったと見られます。今年に入ってからは緊急事態宣言の再発令でリフォーム需要は減退した可能性がありますが、解除されてからの4月以降は再びリフォーム需要が動き出す見通しです。間違いなく、前年4~6月期のような最悪状況から比較すれば大きく回復を見せるものと思われます。そしてリフォーム市場においても、コロナ禍を経て高まってきたニーズが顕在化し始めています。

1商品別で明暗分かれたコロナ影響

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2020年は、トイレ等の設備生産停止から始まり、コロナ感染拡大の下で、全体的には厳しい市場環境だったと言えるリフォームですが、部位別に見るとコロナ影響の明暗が分かりやすく出ました。住宅設備メーカーの販売・出荷状況を見ると、部位・商材によって落ち込みが大きかった商材があれば、逆に伸ばしている商材もあります。

まず圧倒的に販売が増えたのが、タッチレス水栓です。LIXILでは2倍くらいに販売が伸びた月もあったようで、水栓金具全体で見ても増税前から常にプラス圏で推移し、昨年10~12月期の売上は18%増となりました。洗面化粧台の売上も8.9%増、トイレも2.1%増と好調でした。これは新築も含めての数字ですが、住宅以外でも学校や公共施設等での導入も進んだと見られます。
TOTOでも同様に、自動水栓の伸びは2倍近くと大きく、またトイレのウォシュレットの売上も海外も含めてですが、ⅢQ決算時で9%増と伸びています。

一方で厳しかったのが、バスやキッチンリフォームです。LIXILでも20年度Ⅰ~Ⅱ四半期では2割前後の落ち込みとなりましたが、要因は昨年の緊急事態宣言下でまずリフォーム客自体が動かなかったことと、そしてバスやキッチンはショールームの依存度が高い設備であることが需要を減退させました。トイレ等に比べて、ショールームで現物を見て体感したいという商材であるため、ショールームの閉鎖、また完全予約制で来場自体が減少したことが影響したと見られます。

2新築でもリフォームでも高まっているニーズ~非接触・換気・エコ設備…

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ステイホームやテレワークが定着し、在宅時間が増えたことで、「新生活様式」「ニューノーマル」といった言葉で表されるように、これまでとは違った需要が沸き上がっています。家での暮らしに充実を求めるというニーズ、また暮らしの不便なところ、ここをこう変えたい等の新たな気づきが生まれています。賃貸居住者であれば、広い部屋で快適に過ごせる新築住宅を買おうという気持ちが高まりますし、既に持家に住んでいるならばリフォームで改善したいというニーズが確実に生まれていると考えられます。

コロナ禍で変わった点の第一としては、衛生・非接触への意識の高まりです。その結果、洗面台、トイレ等の水回りリフォームへのニーズが高まり、前述の通り、タッチレス水栓やトイレの温水洗浄便座等の需要増につながりました。また玄関近くに手洗い場を設置したいというニーズも増え、TOTOによるアンケート調査では、全体の6割が玄関近くに設置・増設したいという意向も見られています。
換気への意識も高くなっています。白物家電では換気のできるエアコンや空気清浄機等が過去最高レベルの売れ行きを示したり、住宅ではまず簡易な方法として網戸の設置工事は増えていると言います。また全館空調もリフォームでの対応が可能なものもありますので、数は多くはないとしても空調リフォームも出てくるものと見られます。

第二は、水道・光熱費削減という省エネ意識の高まりがあります。在宅時間が増えればその分、電気、ガス、水の使用量は増え、月々の光熱費が上昇した家庭も多いでしょう。省エネ、節水等の機能を備えた新しいエコ設備への取り換えニーズは高まっているはずです。非接触と節水を兼ねた非接触型トイレのリフォーム需要は、設備メーカー出荷の状況からも実際に増えていると見て良いでしょう。
省エネに関連するところでは、部屋の快適性も追求した断熱リフォームへのニーズの高まりもあります。部屋の寒さ、暑さ、更には騒音という不満点。そしてそれを改善しようと断熱リフォームを行うケースも増えているようです。特に開口部である窓の断熱化は、省エネ・経済性だけでなく、遮音性も高まりますし、そして快適性向上から健康維持まで幅広いメリットがあるリフォームです。

第三は、テレワーク型のリフォームへのニーズも高まってきています。新築でもテレワークプランは一般化していますし、当然リフォームにおいても部屋を仕切って1室増やしたいとか、防音室にしたいといったニーズもあるはずです。

3防災の観点からも動く雨戸・シャッター、防災複層ガラス窓、レジリエンス…

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東日本大震災から10年ということもあり、自然災害対策のリフォームも間違いなく機運は高まっています。コロナ禍以前から、ストックの強靭化ということを目指して、災害対策リフォームは、やらなければならない待ったなしのリフォームです。特に耐震リフォームはその最たる例ではありますが、やるべきだと思いながらも、実のところ施主の方でも先送りしがちなリフォームとも言えます。グリーン住宅ポイントでも対象になっているように、エコリフォームとセットで勧める等、耐震補強が必要であるならば、積極的に勧めていくべきリフォームです。
また昨今、台風や豪雨災害等は甚大化して、頻度も高まっていますので、風水害への防災の意識は非常に高くなっています。例えば、窓リフォームは断熱、遮音という改善だけでなく、夏の猛暑による熱中症対策、冬場のヒートショック対策等、健康にもメリットがあります。そして防災安全複層ガラス等を使えば、台風等の自然災害対策という点でも有効です。
台風対策として近年注目されているのが、シャッター・雨戸リフォームです。YKKAPでは20年度は前年比で1.5倍の伸びとなっていて、特に台風被害が大きい九州や、近年大型台風が襲った千葉では3~5倍という売れ行きのところもあったようです。
もう一つ、災害時に備えておきたいのはライフラインの確保です。太陽光発電やエネファーム、蓄電池や貯水タンク等も、エコ+レジリエンス型のリフォームとして、今後も需要はますます伸びていくと考えられます。

コロナ禍で生まれたニューノーマルなリフォームニーズに対しては、旅行も外食も自粛して、お金をあまり使わなかった分、家を快適にするリフォームにお金を使おうと、気持ちが向かうことも十分に考えられます。これらのリフォーム需要が、緊急事態宣言が明けた今、一気に噴き出す可能性があるわけです。訴求しやすいグリーン住宅ポイント制度などの後押し要素もあるため、4月以降のリフォーム市場は堅調に回復していくと思われます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)