1暮らし、健康、環境の持続可能性を追求「Green Infrastructure Model(グリーン・インフラストラクチャー・モデル)」~ミサワホーム
ミサワホームは7月、コンセプト住宅「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」を開発・発表しました。同社は、再生可能エネルギーの自家消費率や建物の長期利用、防災性能の向上など、脱炭素に向けたすべての取組みを「グリーン」として考えています。また、エネルギーや水などの生活インフラのほか、働く場所や社会とのつながり、感染症対策など安全で健やかに暮らすための技術、災害に対する安全、緑に囲まれた安らぎなど、人々が安心して豊かに暮らすための基盤すべてを「インフラ」として捉えています。「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」は、人々を支えるインフラのひとつと考えるデザイン提案によって、暮らしと健康、環境、3つのサステナビリティを目指したモデルです。
再生可能エネルギーの自家消費率を高める仕組みとしては、屋根・外構に設置した太陽電池、燃料電池、蓄電池による全負荷型3電池連携システムを設けています。エネルギーの自立性向上を図り、停電時にも住まい全体に高出力の電力を供給できるため、災害時でも普段に近い暮らしが可能です。
モデルハウスのプランについては、1階をシェアオフィスとしても貸し出せるパブリックな空間とし、2階を居住空間としています。職住近接の理念をプランに落とし込み、住まいをマルチプレイス化した暮らし方提案が特徴となっています。
2高断熱・高気密を最大限に向上「日本の家・檜の家」~日本ハウスホールディングス
日本ハウスホールディングスは9月、主力商品の構造を刷新し、国産檜柱を構造躯体に使用する「新木造ストロング工法」を採用した「日本の家・檜の家」シリーズを発売しました。同社は従来より檜無垢材による家づくりを強みとしてきましたが、カーボンニュートラル実現を見据え、気密・断熱性を最大限に高め、エネルギーロスを最小限とした住宅を手掛けていく方針です。
「日本の家・檜の家」シリーズは、グレード別に「館」「極」「輝」「雅」という4タイプに分けられています。グレード別に性能が異なり、最高ブランドの「館」「極」は4寸骨太柱にHEAT20 G2レベルを上回る断熱性能Ua値0.25、C値1.0以下を実現しています。また、それぞれの商品で全棟気密測定検査を実施し、新築全棟でUa値とC値の認定する性能証明を発行することとしました。
プランニングは施主が高齢となっても生活しやすいメーターモジュールをスタンダードとし、デザイン面では檜の無垢床材の他、壁・天井にも檜の突板材を採用し、室内空間の調湿機能、抗菌機能を高めることで、健康で快適に長く暮らせる商品を完成させました。
3木造マンションに挑戦「MOCXION(モクシオン)」~三井ホーム
三井ホームはこの7月、木を構造材に用いた木造マンションの新ブランド、「MOCXION (モクシオン)」を立ち上げました。このブランド名の由来は、「Mitsui Home Original Construction method」の頭文字と「Mansion」と「minus Ion」の語尾をとったものです。注文戸建住宅を主軸にしてきた同社にとって、木造マンションは新たな挑戦であり、中層以上の共同住宅の木造化・ 木質化も促進することで、SDGs や脱炭素社会の実現を目指すとのことです。
MOCXIONの第1号物件は、「(仮称)稲城プロジェクト」です。20年11月に着工し、21年11月に竣工する予定です。断熱等性能等級4、一次エネルギー消費量等級5、劣化対策等級3と、住宅性能評価3項目での最高ランクに加え、ZEH-M Oriented(BELS 認証)も取得しています。建物は5階建てで、耐火性能を考慮して1階がRC造、2~5階が木造の混構造となっています。構造における最大の特徴は、独自開発した高強度の耐力壁「MOCX wall(モクスウォール)」です。これは一般的なツーバイフォー工法の枠組みに構造用面材「パーティクルボード」をクギ打ちしたものですが、壁倍率31倍に相当する耐力を有します。
三井ホームが以前建設した5階建ての木造建築物では、MOCX wallよりも壁倍率の低い耐力壁を2枚並べていましたが、MOCX wallであれば1枚で済むとのことで、工期短縮とコスト低減が期待できます。2階以上を木造としたことで、施工期間における二酸化炭素排出量は同等規模のRC造の住宅よりも半分程度に減らせる見込みです。
(テキスト/株式会社住宅産業研究所 斎藤 拓郎さん)