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知っておきたい、インテリアデザイントレンド2021-2022

2021.11.19

インテリアデザインのトレンドを牽引する見本市の1つ、ミラノ国際家具見本市(ミラノサローネ)2021 特別展「スーパーサローネ」が9月5日から10日まで開催されました。425ブランドが出展し、そのうち16%がイタリア国外からの出展で、日本からは照明ブランド「アンビエンテック」と東日本大震災後に立ち上げた家具工房「石巻工房」の2社でした。6日間で6万人以上の来場者を記録し、次回2022年4月5日から開催予定の第60回ミラノサローネの助走になったようです。
市内各所で開催の「フォーリサローネ」では、新たなデザインの発信地となる店舗「D Studio Milano」の、現代の家具と歴史的な作品が競演する新業態が話題を呼びました。
このコラムでは、ホームファッションコーディネーターの堀和子氏が、インテリアデザインの構成要素である「色彩」「素材」「形状」に加えて「サステナブル」「インテリアデザイントピックス」の、それぞれのトレンドをレポートします。

色彩:柔らかな心地よいカラー

まずは、色彩です。2021年から2022年にかけて大切な提案色は柔らかな希望に満ちた心地よい色調のソフトトーン(写真1・2)と、ブラウン系(写真3)、オレンジ系(写真4・5)、グリーン系(写真6・7)、ブルー系(写真8・9)カラーといえます。的確なカラー提案に定評のある「パオラ・レンティ」は、「自然に溶け込む柔らかな色調」を提案し、グリーン系、特にブルー系では、世界中が挑戦する藍染めの色が大切です。

ソフトバリエーション

1. MAXALTOマクサルト (伊)
1. MAXALTOマクサルト (伊)
アントニオ・チッテリオが手掛けるマクサルトは、高級なファッションブランドの服地からインスパイア。ソフトグレーのヘリンボーン柄がおしゃれ。
2. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
2. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
「自然界に溶け込む柔らかな色彩」とパオラ・レンティは、トレンドカラーの大切さを説く。

ブラウンバリエーション

3. MOLTENI&C (伊)
3. MOLTENI&C (伊)
スーパーサローネで話題をさらったブース。1950-60年代アリタリア航空のラウンジに見立てブラウンゴールド色のジオ・ポンティの椅子を並べた。会場構成はロン・ジラッド。

オレンジバリエーション

4. Cassinaカッシーナ (伊)
4. Cassinaカッシーナ (伊)
キャビネット、ローテーブル、ソファをアクセントカラーのレディッシュオレンジで表現。アートディレクターのパトリシア・ウルキオラの感性が光る。
5. MOROSOモローゾ (伊)
5. MOROSOモローゾ (伊)
こちらもパトリシア・ウルキオラのライトオレンジを生かした丸みのソファ&ラグが可愛い。

グリーンバリエーション

6. B&BITALIA (伊)
6. B&BITALIA (伊)
スレートグリーン、ミストグリーンの灰みのグリーンが落ち着いた雰囲気を醸し出している。
7. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
7. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
マラカイトグリーン、ボトルグリーンが陶板に映えるトレンドカラー。

ブルーバリエーション

8. CASSINAカッシーナ (伊)
8. Cassinaカッシーナ (伊)
ジーンズのような緑みのブルーがカジュアルな空間を創る。
9. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
9. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
東屋を思わせる藍色が静かなリラックスタイムを創出。

素材:あふれる自然感

ウッド(写真10・11)は見た目にも触感も温もり感があります。セラミックやセメント(写真12)をパーテーションやテーブル、床材として活用するのも自然感あふれる空間を創出します。

ウッド

10. Cassinaカッシーナ (伊)
10. Cassinaカッシーナ (伊)
1932年デンマーク生まれの建築家、ボディル・ケア—が木製のカジュアルな家具コレクションを発表。
11. Dadaダダ (伊)
11. Dadaダダ (伊)
ヴィンセント・ヴァン・ドゥィセンのデザインによる象徴的なキッチン「ラツィオ」。ダークなオーク材と大理石のような自然石を美しく配置。「使うキッチン」と「見せるキッチン」を見事に体現。

セラミック&セメント

12. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
12. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)
陶板のテーブル、セメント材のパーテーションなど、年追うごとに進化を重ね、芸術性を極めている。
12. PAOLA LENTIパオラ・レンティ (伊)

形状:おうち時間を家族で

コロナ禍でのおうち時間。家族との食事を楽しもうと、ダイニングテーブルの需要が高まっています。ユニークな脚の個性的なダイニングテーブル(写真13・14・15)が人気です。

13. ARMANI CASAアルマーニ・カーザ (伊)
13. ARMANI CASAアルマーニ・カーザ (伊)
白木を用いた折り紙のようなダイニングテーブル。
14. Cassinaカッシーナ (伊)
14. Cassinaカッシーナ (伊)
パトリシア・ウルキオラのウッドと大理石の組み合わせが斬新なダイニングテーブル。
15. LAGOラゴ (伊)
15. LAGOラゴ (伊)
サーフェイスデザインからプロダクトに力を入れるラゴ。天板と脚とのコントラストが面白い。

サステナブル:持続可能を探求

1969年に発表したオリジナルのソファの中材をサステナブルな素材に替えて、2021年9月に復刻版を披露したCassinaとB&B Italia。ワインボトルのコルク栓を再利用したデザイン界の革命児 ガエターノ・ペッシェによって1969年に生み出されたアームチェアの復刻版(写真16)を。MAGISは再生ポリプロピレンを100%使用した一体成形チェア(写真18)など、サステナブルを追求するブランドが多くなっています。

16. B&B Italia (伊)
16. B&B Italia (伊)
ガエターノ・ペッシェの代表作「UP」をワインのコルク栓をリサイクルして精巧に作られている。
17. RODAロダ (伊)
17. RODAロダ (伊)
コルクを再利用した植木鉢が大人気。サイズ展開は8種類ほど。
18. MAGISマジス (伊)
18. MAGISマジス (伊)
再生ポリプロピレンを100%使用した、コンスタンチン・グルチッチが手掛けたスタッキングチェア「ベル」。
19. PAOLA LENTI (伊)
19. PAOLA LENTI (伊)
再生ガラスに色彩を施した唯一無二のテーブル。再生ガラスの可能性を追求。

インテリアデザイントピックス「D Studio Milano」
-新旧競演、豊かな空間-

トレンドを発信しているショップを把握し、効果的な空間デザインの提案を心掛けてみてください。
今回はミラノで湧いた店舗「D Studio Milano」を紹介します。店舗設計は、国際的な建築・デザイン界の巨匠、マッシミリアーノ・ロカテリとピエロ・リッソーニ。イタリアを代表するブランド、B&B イタリア、マクサルト、アズセナ、アルクリネア、フロス、そしてデンマークを代表するルイスポールセンがファミリーとなり参画しています。
同店を運営するデザインホールディング(伊ミラノ)は、2018年11月に設立。ハイエンドなデザイン分野における世界最大級の企業です。店舗の目的は、建築や内装の設計者やデザイナー、インテリアコーディネーターといった空間デザインの構成要素を選定するキーパーソンに向けて、導入アイテムの一括検討を支援し住宅以外のコントラクトビジネスを促進することにあります。世界中がコロナ禍にあって、ライフスタイルの見直しや在宅時間の増加からインテリア用品の需要が高まっています。世界初の D Studio は 今年6月コペンハーゲンに、9月にミラノ、年末には、ニューヨークのマディソン・アベニューに開業予定です。

D Studio Milano
イタリアンデザインが脈動するミラノ・ドゥリーニ通り14番地に位置するD Studio Milano。かつてB&Bイタリアの歴史的な店舗があった空間は2,150平方メートルの広さをもって生まれ変わりました。
D Studio Milano
D Studioは、3つのフロアで構成。1階中央では、エスニックなラグの上にアントニオ・チッテリオデザインの新作ソファ「ヌーヌ」の大らかな展示が心地よい。マリオ・ベリーニが1969年にB&Bイタリアのためにデザインした古典的なソファ「カマレオンダ」を披露しました。
D Studio Milano
プロダクトデザイナーの深澤直人が手掛けたアームチェア「ハーバー レイドバック」、伊建築家のモニカ・アルマーニデザインのテーブル「アリュール オ」が注目され、フロスの主力デザイナーのマイケル・アナスタシアデスによる照明「コーディネート」がダイナミックに空間を彩ります。
D Studio Milano
ルイスポールセンは、クラシカルで革新的なデザインを用意。50 周年を記念するヴァーナー・パントンのテーブルライト「パンテラ」を壁付にした斬新な展示が好評でした。
D Studio Milano
ワインのコルク栓を再利用したガエターノ・ペッシェデザインのアームチェア「UP」は大人気。

文=堀和子(ホームファッションラボ)
監修=リビングデザインセンターOZONE

製品のご案内

海洋廃棄物のアップサイクルから産まれたリサイクル生地

日本フィスバ株式会社
メーカー名
日本フィスバ株式会社
URL
https://www.fisba.co.jp/
製品名
カーテン
品名・品番
BENU NET(ビニューネット) 14645
素材・仕上げ
(リサイクル)ポリエステル100%
サイズ
生地丈(cm)295
価格(税込)
21,800円(税込 23,980円)/m

SEAQUAL® YARNを使用したイノベーティブなタテ編みのニット生地。2色の糸が一つに紡がれ奥行きのあるメランジのような色合いになっています。ナチュラルなテイストの4色展開。295cm丈の横使いレースファブリックです。SEAQUAL® YARNは主に海洋廃棄物のアップサイクルにより資源効率のよい工程で作られた高品質なポリエステル糸で、しわになりにくく、耐久性に優れた素材です。従来の(石油からつくられる)ポリエステルに変わる有用で持続可能な素材であるアップサイクル海洋プラスチックを使用した製品を選ぶことは、プラスチックによる海洋汚染を減らすことにつながります。

ヴェネチアの歴史と文化へのリスペクト

RUBELLI
メーカー名
RUBELLI
URL
https://www.manas.co.jp/rubelli/san-polo-by-rubelli/
製品名
SAN POLO BY RUBELLI
品名・品番
San Polo 30441
素材・仕上げ
絹(シルク)100%
サイズ
生地巾(cm) W140、リピート(cm)タテ/ヨコ 37/35
価格
67,100円 (税込 73,810円)/m

1858年ヴェネチアに創設された「RUBELLI(ルベリ)」。生み出される最高級ファブリックの創造源はルネッサンス期までさかのぼります。2021年3月25日、ヴェネチア共和国建国から1600年を迎え、この記念すべき日を祝うべくピュアシルクダマスク織りの「San Polo」を発売。カラーパレットを構成する16色は1600年にちなんで1世紀ごとに移り変わる時代、そして街からインスピレーションを受けており、ヴェネチアという街の歴史と文化へリスペクトを表しています。使用している絹はオーガニックな環境で育つ桑と蚕から生み出され、無駄のないサスティナブルな素材でもあります。「San Polo」はヴェネチアが誇るシルクファブリックを継承し続けるRUBELLIが培ってきた経験と、ものづくりへの情熱から生まれるエネルギーに満ち溢れたファブリックです。

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