色彩:柔らかな心地よいカラー
まずは、色彩です。2021年から2022年にかけて大切な提案色は柔らかな希望に満ちた心地よい色調のソフトトーン(写真1・2)と、ブラウン系(写真3)、オレンジ系(写真4・5)、グリーン系(写真6・7)、ブルー系(写真8・9)カラーといえます。的確なカラー提案に定評のある「パオラ・レンティ」は、「自然に溶け込む柔らかな色調」を提案し、グリーン系、特にブルー系では、世界中が挑戦する藍染めの色が大切です。
ソフトバリエーション

アントニオ・チッテリオが手掛けるマクサルトは、高級なファッションブランドの服地からインスパイア。ソフトグレーのヘリンボーン柄がおしゃれ。

「自然界に溶け込む柔らかな色彩」とパオラ・レンティは、トレンドカラーの大切さを説く。
ブラウンバリエーション

スーパーサローネで話題をさらったブース。1950-60年代アリタリア航空のラウンジに見立てブラウンゴールド色のジオ・ポンティの椅子を並べた。会場構成はロン・ジラッド。
オレンジバリエーション

キャビネット、ローテーブル、ソファをアクセントカラーのレディッシュオレンジで表現。アートディレクターのパトリシア・ウルキオラの感性が光る。

こちらもパトリシア・ウルキオラのライトオレンジを生かした丸みのソファ&ラグが可愛い。
グリーンバリエーション

スレートグリーン、ミストグリーンの灰みのグリーンが落ち着いた雰囲気を醸し出している。

マラカイトグリーン、ボトルグリーンが陶板に映えるトレンドカラー。
ブルーバリエーション

ジーンズのような緑みのブルーがカジュアルな空間を創る。

東屋を思わせる藍色が静かなリラックスタイムを創出。
素材:あふれる自然感
ウッド(写真10・11)は見た目にも触感も温もり感があります。セラミックやセメント(写真12)をパーテーションやテーブル、床材として活用するのも自然感あふれる空間を創出します。
ウッド

1932年デンマーク生まれの建築家、ボディル・ケア—が木製のカジュアルな家具コレクションを発表。

ヴィンセント・ヴァン・ドゥィセンのデザインによる象徴的なキッチン「ラツィオ」。ダークなオーク材と大理石のような自然石を美しく配置。「使うキッチン」と「見せるキッチン」を見事に体現。
セラミック&セメント

陶板のテーブル、セメント材のパーテーションなど、年追うごとに進化を重ね、芸術性を極めている。

形状:おうち時間を家族で
コロナ禍でのおうち時間。家族との食事を楽しもうと、ダイニングテーブルの需要が高まっています。ユニークな脚の個性的なダイニングテーブル(写真13・14・15)が人気です。

白木を用いた折り紙のようなダイニングテーブル。

パトリシア・ウルキオラのウッドと大理石の組み合わせが斬新なダイニングテーブル。

サーフェイスデザインからプロダクトに力を入れるラゴ。天板と脚とのコントラストが面白い。
サステナブル:持続可能を探求
1969年に発表したオリジナルのソファの中材をサステナブルな素材に替えて、2021年9月に復刻版を披露したCassinaとB&B Italia。ワインボトルのコルク栓を再利用したデザイン界の革命児 ガエターノ・ペッシェによって1969年に生み出されたアームチェアの復刻版(写真16)を。MAGISは再生ポリプロピレンを100%使用した一体成形チェア(写真18)など、サステナブルを追求するブランドが多くなっています。

ガエターノ・ペッシェの代表作「UP」をワインのコルク栓をリサイクルして精巧に作られている。

コルクを再利用した植木鉢が大人気。サイズ展開は8種類ほど。

再生ポリプロピレンを100%使用した、コンスタンチン・グルチッチが手掛けたスタッキングチェア「ベル」。

再生ガラスに色彩を施した唯一無二のテーブル。再生ガラスの可能性を追求。
インテリアデザイントピックス「D Studio Milano」
-新旧競演、豊かな空間-
トレンドを発信しているショップを把握し、効果的な空間デザインの提案を心掛けてみてください。
今回はミラノで湧いた店舗「D Studio Milano」を紹介します。店舗設計は、国際的な建築・デザイン界の巨匠、マッシミリアーノ・ロカテリとピエロ・リッソーニ。イタリアを代表するブランド、B&B イタリア、マクサルト、アズセナ、アルクリネア、フロス、そしてデンマークを代表するルイスポールセンがファミリーとなり参画しています。
同店を運営するデザインホールディング(伊ミラノ)は、2018年11月に設立。ハイエンドなデザイン分野における世界最大級の企業です。店舗の目的は、建築や内装の設計者やデザイナー、インテリアコーディネーターといった空間デザインの構成要素を選定するキーパーソンに向けて、導入アイテムの一括検討を支援し住宅以外のコントラクトビジネスを促進することにあります。世界中がコロナ禍にあって、ライフスタイルの見直しや在宅時間の増加からインテリア用品の需要が高まっています。世界初の D Studio は 今年6月コペンハーゲンに、9月にミラノ、年末には、ニューヨークのマディソン・アベニューに開業予定です。





文=堀和子(ホームファッションラボ)
監修=リビングデザインセンターOZONE