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ビルダー販促事例 ポストコロナの集客を改めて考える

INDEX 2022.3.18

新型コロナウイルスの感染拡大により国内で1回目の緊急事態宣言が発出された20年3月から、丸2年が経過しました。変異型のオミクロン株も蔓延し、今もなお収束の兆しは見えず、感染リスクを避けた行動・暮らし方が常態化しています。消費者が住宅の購入を検討する際の行動も変化しました。住宅会社も社員の感染を防ぐために働き方を変えながら、感染拡大のリスクを避けた集客が求められます。
メルマガ最終回の今回は、これまでの連載の内容も踏まえて、コロナ禍と共存しながらのwithコロナ、ポストコロナにおける住宅会社の集客について、改めて考えてみましょう。

1WEB上でハウスメーカーと対等に戦うために認知度を高める

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ポストコロナの集客の考え方の基本となるのは「量より質」です。コロナ禍以前は、「住宅に関する情報を集めるために、多くの住宅会社が出展している総合展示場に“なんとなく”来てみた」、「住宅購入の予定はないけど、近所で見学会がやっていたから“なんとなく”見に来た」という人からも記名を集めて、その大量の名簿から絞り込んでいくという考え方がありました。ところがコロナ禍以降は、不特定多数が集まる場所に具体的な目的無く“なんとなく”足を運ぶことが敬遠されるようになりました。この傾向から、①住宅の計画が具体化していて、②自社に興味のある見込み客を、予約を取って1組ずつ接客するという「量より質」の集客に、考え方をシフトする住宅会社が増えています。営業担当の働き方を効率化し、生産性を高めるという観点からも、理にかなっていると言えるでしょう。
展示場や見学会というリアルの場所に集客する前に「質」を高めておくためには、WEB戦略が有効であることは、これまでも述べてきました。WEB戦略の基本的なポイントは、以下の3つです。

(1)ホームページの情報を充実させる
住宅購入検討者は展示場や見学会に訪れる前に、必ずその会社のホームページを見ていると思っておいた方がいいでしょう。ホームページには、会社情報や商品情報、イベント告知等、それぞれの情報・コンテンツを充実させておく必要があります。
特に人気の高いコンテンツの一つが「施工事例」です。例えば、A社のホームページの「施工事例」に掲載されている事例は数件のみで、2~3枚の写真が載っているだけ、B社の「施工事例」はこれまでに建てた数十件の事例が載っていて、1件ごとの写真の枚数も多く、設計者や施主のコメントも掲載されているとします。この2社を比較検討する場合、やはりB社のほうに家づくりの相談をしたくなるのではないでしょうか。稀に「ホームページに情報を出しすぎると競合他社に真似される」と情報を出し渋る住宅会社も見受けられますが、競合を気にするよりも、エンドユーザーに情報を届けることを優先しましょう。

(2)WEB反響から集客までの対応
資料請求でも来場予約でも、WEB反響にはレスポンスの速さが第一です。自動返信メールの後のフォローのスピードはできるだけ早めましょう。例えば翌週末の展示場見学の予約を受けた場合、展示場で実際に営業マンが会うまでには1週間の猶予があります。この1週間の間にもメールやLINEをやり取りして、当日知りたいことを事前に聞いておく、興味のありそうな資料や動画を送っておく等の対応で、集客の質を高めておくことができるはずです。インサイドセールスの専任担当を決めて、WEB対応の業務フローや内容を明確に決めておきましょう。

(3)自社の認知度を高める
ホームページの情報をいくら充実させても、そのホームページを見に来てもらわないと集客・受注にはつながりません。ホームページの閲覧数を増やすためにWEBでできる施策としては、WEB広告、SEO対策、SNS等が考えられます。地域密着型のビルダー・工務店の場合はこれらのWEB施策に加え、その地域の生活者からの認知度を高めるための工夫をしましょう。地域住民の目につくロードサイドに看板を出す、店舗やモデルハウスを地域住民も使える施設として開放する、地域住民が参加できるイベントを実施する等の方法が考えられます。テレビCM等を使ったマス広告では、多くの予算をかけられるハウスメーカーが有利かもしれませんが、WEB施策や地域に根差した認知度の向上では、ビルダー・工務店もハウスメーカーと対等に戦えるはずです。

2営業は「家を売る」のではなく「暮らしをコンサルティング」する役割

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最後に、ポストコロナの住宅営業の役割についてお伝えします。人口・世帯数の減少に伴って、住宅市場の縮小も加速します。働き方の変化や少子高齢化、経済的な不安によって、新築戸建の購入ではなく、中古住宅+リフォームや賃貸住宅という住まい方を選ぶ客層も増えていくと考えられます。まずは新築戸建を購入することの経済的なメリットと、暮らしの豊かさを訴求すべきでしょう。特に経済的なメリットについては、住宅の性能が高いほど住宅購入支援策の恩恵を多く受けることができ、光熱費も大きく削減できます。太陽光発電や蓄電池、EVを導入すれば、電力会社から電気を購入する量も大きく変わってきます。

住まい手にとって、住宅の購入はゴールではなく、新生活のスタートであり、35年の住宅ローンのスタートです。賃貸住宅の家賃と住宅ローン月額が比較されることがありますが、新生活にかかるランニングコストはそれだけではありません。光熱費もそうですし、今以上にEVが普及すればガソリン代とのコストの比較もあります。アパートには無い庭で家族と楽しむ時間や、性能の高い家で快適に暮らすことによる健康効果等、ランニングコストに換算できないメリットもあります。

住宅営業は「家を売る」のではなく、ランニングコストのシミュレーションも含め、住み始めてからの「暮らしをコンサルティング」する役割が、より濃くなっていくものと考えられます。自社の建物の良さを伝える“売り手”と、それが価格に見合っているかを判断する“買い手”の関係性ではなく、新居での新しい暮らしをいかに豊かなものにするかを一緒に考える、パートナーとしての関係性を築きましょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)

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